【600株式会社のNEW制度】

【制度内容】
水・土・日休みの週休3日制。水曜日に休めない場合はほかの曜日で振替ができる。また、祝日があっても週休3日は変わらず、月曜日が祝日だと出社日数が週3日になることも。

毎日が「休日」か「休日明け」、週休3日制とは

週休3日制を導入した企業がある。無人コンビニを開発している600株式会社だ。

2019年7月16日に600株式会社の代表取締役、久保渓 氏が「弊社が採用している水土日休みの週休三日制なら、毎日が『休日』か『休日明け』か『休日前』なんです。これってすごくないですか?」とSNSに書き込んだ結果、多くの注目を集め、80,355件のリツイートと、204,179件のいいねを獲得した(2019年9月時点)。

ほとんどの企業で5連勤が当たり前な中、連続2日しか働かないこの制度は、日本中に衝撃を与えたようだ。そこで、600株式会社 阿部 愛 氏に週休3日制について、週休3日制にするために必要なことや、メリット・デメリットなどのお話を伺った。

───週休3日制のルールを教えてください

阿部:水・土・日が休みになります。展示会などが入り水曜日に休めない時は、ほかの曜日での振替が可能です。必ず週休3日は取れるようになっています。

───例えば、月曜日が祝日になった場合はどうなりますか?

阿部:祝日があっても週休3日は変わりません。月曜日が祝日の場合は、火・木・金の3日間だけ出勤します。

───休みが多い分、困ることはありますか?

阿部:どうしても仕事が進みづらいタイミングは出てきて、祝日が多い月は忙しい時も多いです。

戦略とは戦いを略すと書きますが、まさに目標達成の為に短い時間でどう動いていくかについてはすごく考えていかないといけません。

───仕事が終わらない場合、休日稼働することはありますか?

阿部:突発的な差し込み業務などが入ったりした場合や、週明けの業務の準備などで稼働することもあります。ただその際は事前申請を行い、振替の休日をとってもらうようにしています。

休日稼働については、責任感から来るポジティブな部分と仕事の優先順位が明確になっていないネガティブな理由、その両方が顕在化するきっかけだと思っており、咎めるというよりは、会社を良くしていくための議論ができたらいいなと思っています。

週休3日制は、スタートアップだからこそ実現できた

───週休3日制を導入した理由は?

阿部:代表の久保が1人で運営していたころから週休3日制でした。だから、途中で導入したというよりも「初めからあった」というほうが正しいですね。

いままで週5日働いていた企業が突然「水曜日休みにします」って難しいと思うんです。でも弊社の場合は、週休3日制の体制ができている中で社員が入社してくるから、問題なく運用できています。

───阿部さんは今まで別の企業で働かれた経験があると思いますが、週休3日制と週休2日制を比べてどう思われますか。

阿部:効率の良さは断然週休3日制のほうが上だと実感しています。休みが増えるということは、ほかの企業が週5日で行っているところを、週4日でこなす必要があります。だから、いろいろな部分を効率化させいるんです。

───例えばどんな部分を効率化させていますか?

阿部:2日間で本当に必要な仕事をこなせるように、仕事に優先順位を付けています。システムを導入したり、ほかの人に任せられる仕事なら、ほかの人に振り分けたり。仕事が抱えきれなくなったら、早めに声をあげて助け合えるような環境づくりをしています。

そのほか、社員一人ずつに専属のオンラインアシスタントがついて、細かな業務を手伝って貰うことも多いですね。今、社員自体は20名ほどで、チャットグループには50名ほど人がいるのですが、その1/3はリモートで動いている方です。

───週休3日制を実現するとなると、やはり外部の力も必要だと思いますか?

阿部:オンラインアシスタントさんは、週休3日制を実現するために重要な役割を担ってくれていると思います。

忙しいと業務を効率化する時間すらも取れなくなります。アシスタントさんがいると、一旦考えるために自分の手から業務を一時的に離すことできるので、そこが重要だと思っています。

また、仕事を渡す時にもオンラインで齟齬がでないよう、しっかりと言語化していく必要があります。言語化が出来ると、オペレーションのマニュアル化が容易になるので、属人化を防げるようになり、仕事が渡しやすくなります。

働く時間が短いほど効率的に。週休3日制が良い理由

週休3日制で仕事の効率が上がったと言う阿部氏。では実際どのような変化があったのか、逆にデメリットはないのかを伺った。

───週休3日制は休みが増えて嬉しい半面、一日の仕事量が増えて大変…などデメリットはありませんか?

阿部:限られた時間内で業務を遂行するために、常に物事の優先順位を考えて行動するようになったので、圧倒的に頭を使う時間は増えました。脳をフル回転しているようなものなので、毎日夕方くらいになると疲労を感じます。

これは週休2日制の時にもありましたが、今ほどではありませんでした。

阿部:でも週休3日の場合はすぐに休みが来るので、そこでリフレッシュができます。だから、週休2日制よりも3日制のほうが、休みと仕事のメリハリが付くようになりました。

───大変さはあるけど、すぐに休みが来るから相殺できるんですね。

阿部:そうです。それに、週休2日制のときは残業しちゃうこともあって、なんとなく夜までだらだらと仕事をすることもありました。でも弊社では6時には終業ということが決まっているし、水曜日は休みだから、だらだら働けないんです。だから仕事中の集中力も上がりました。

それに、平日はみんなとコミュニケーションをしながら仕事をしているし、帰ったら家族が待っているので、一人でじっくり考える時間がなかなか取れません。週休2日制の時は、気になることがあると、休日が来るまでずっとそれを引きづって仕事をしているときもありました。

でも週休3日制だと週の真ん中に休みがあるので、「一人で考え事をしたいなって思ったことは水曜日に回して、今は目の前の業務に集中しよう!」って切り替えができるようにもなりました。

───働く時間が短くなったことでより業務に集中できるようになったんですね。

阿部:そうです。さらに効率的に業務を行うために、人に業務を振ることも必要だと気が付きました。

私は自分でなんでもやりたがるタイプで、今まではそれでいいと思っていました。けど、この会社に来て、それだといつまでたっても自分の仕事が進まないし効率が悪いことに気が付いたんです。

人に業務を振り、自分がやるべき業務を厳選することで「何のために働くのか」を考える機会になりましたし、やるべきことに集中できるようになったんです。これに気が付けたのは、週休3日制のおかげだと思います。

───今後週休3日制にしたいと思う企業は、まずなにを考えれば良いと思いますか?

阿部:やっぱり効率化は大切だと思います。毎月同じことを繰り替えすような単純作業なら、エンジニアの方に頼んで機械的にこなせるようにしたり、ソフトを導入したり。

あとは、困ったことがあったらすぐに、他の人に助けを求められる環境づくりも大切だと思います。一人で悩むよりも他の人に協力してもらったほうが、圧倒的に早く解決できると思うので。

【今回取材させて頂いた会社】
600株式会社。オフィス向けの無人コンビニを運営している。会社も個人も成長できるような組織作りを目指し、週休3日制などスタートアップならではの挑戦をしている企業。

取材・文:成田千草