Sansanは、インボイス管理サービス「Bill One」が、インボイス制度開始後初めての月次決算が終了したことを踏まえ、請求書関連業務に携わる1000名のビジネスパーソンを対象に「インボイス制度開始後の実態調査」を実施し、結果を公表した。

■インボイス制度開始後、対応への課題を感じている経理担当者は7割超

経理担当者500名に対して、インボイス制度への対応に何らかの業務課題を感じているか聞いたところ、「課題を感じた」と答えた人は70.2%、「特に課題を感じなかった」と答えた人は29.8%という結果に。

多くの担当者がインボイス制度対応への課題を抱えていることがわかった。

インボイス制度への対応に何らかの業務課題を感じているか

■主な課題は「請求書業務の負荷増大」「社内で混乱が生じた」

請求書受領について特に課題を感じたことの第1位は「請求書業務の負荷が増えた」で39.2%、第2位は「社内理解が不十分で混乱が生じた」で28.6%という結果となった。また、業務時間の増加により他業務への影響が生じていることも判明。

そのほか、受領した請求書が適格請求書ではなかった、適格請求書かどうかの判定が困難といった項目が上位に挙がり、適格請求書に確認に課題を感じている人が多いことがうかがえる。

請求書受領について特に課題を感じたこと

具体的なエピソードとして、「請求書によって登録番号が記載されている箇所が違うので、確認に時間がかかる(金融業)」「インボイス制度に関する知識を現場に周知するのに課題を感じた(小売業)」、「受け取った請求書が適格請求書かどうか判断するのが難しい(広告業)」などのコメントが寄せられたとのことだ。

■受け取った請求書の確認方法は「経理担当者が目視確認」が最多

取引先から受け取った請求書が適格請求書の要件を満たしているかについて、どのように確認しているか聞いたところ、約7割は「経理担当者による目視確認」となった。

適格請求書に求められる要件は、項目が多い上に内容が複雑であるため、目視で確認すると多くの時間がかかるため、経理担当者の業務負荷増大につながっていると同社は予想。

その一方で、登録番号の確認を特にしていないと回答した人も15.0%おり、受け取った請求書が適格請求書かどうかの確認を行っていない人も一定数いることが判明した。

取引先から受け取った請求書が適格請求書の要件を満たしているか

■非経理部門でも業務増加を感じた人が約7割。「適格請求書かどうかの確認」「請求書不備の修正依頼」が増加

また、経理以外の部門に所属する500名を対象に、インボイス制度開始後の業務について聞いたところ、「業務が増えた」と回答した人は69.8%となった。

インボイス制度開始後の業務について

インボイス制度開始後に増えた業務として最も多かったのは「受け取った請求書が適格請求書かどうかの確認」、次点は「受け取った請求書に不備があった場合の修正対応」。

経理部門だけでなく、取引先と請求書のやりとりを行う他部門においても、インボイス制度を正しく理解し、請求書の内容確認や修正に関するやりとりを行うことが求められており、業務負荷が増大していることがわかる。

インボイス制度開始後に増えた業務

なお具体的なエピソードとして、「まずインボイス制度を理解するのに時間がかかり、日々の確認業務にも時間を要している(製造業)」、「登録番号が記載されていない領収書を受け取ってしまった(運輸・物流業)」などのコメントが寄せられたという。

また、請求書内容の確認に加えて、社内外のやりとりが増えたと感じている人も多く、「立替精算のとき、経理部門から適格請求書の提出を要求されるなどコミュ二ケーションが増えてかなり時間がかかった(小売業)」「適格請求書の必要要件を理解していない取引先に対しての連絡に時間を要している(建設業)」といったコメントも。

さらに、「経理担当者も制度を理解しきれていない(運輸・物流業)」といった声も挙がり、制度内容の複雑さから、経理部門でさえも制度内容の把握に苦慮していることがうかがえる結果となった。

【調査概要】
調査名:インボイス制度開始後の実態調査
調査方法:オンライン上でのアンケート調査
調査地域:全国
調査期間:2023年11月6日~2023年11月8日
調査対象:請求書を取り扱う業務を担当するビジネスパーソン1000名(経理部門500名、経理以外の部門500名)
※請求書を取り扱う業務とは、請求書の受け取り、振り分け、内容確認、支払い申請、支払い承認、経理部門への請求書提出、請求書の仕訳入力、支払いの実施、請求書の保管などを指す。
調査企画:Sansan

<参考>
Sansan『インボイス制度開始後の実態調査