富士通は、ビジネスと社会の未来ビジョンを提言する「Fujitsu Technology and Service Vision 2023」を策定し、5月26日に発行したと発表した。

2022年度に示したデジタルイノベーションによるサステナビリティ・トランスフォーメーションの実現に向けて、企業が取り組むべき具体的なアクションを提言しているとのことだ。

気候変動、地政学的な緊張や金融市場の混乱などの課題がビジネスや生活に大きな影響を与えている中、企業はそのようなサステナビリティに関わる課題解決をビジネス機会として捉えているという。この機会を活かすためには、環境や社会に価値を生み出すビジネスへと変革する必要があるとしている。

同編では、サステナビリティとビジネスを一体化させる取り組みや、テクノロジーの進化がビジネスと社会に与えるインパクト、企業が持続可能な未来に向かってとるべきアクションについて提言しているとのことだ。

富士通、「Fujitsu Technology and Service Vision 2023」策定 サステナビリティをビジネスと一体化

背景

現在、気候変動や地政学的な緊張、金融市場の混乱といった社会課題が相互に関係し、特定の地域で起こった個々の出来事が、世界全体に影響を及ぼす事象が発生している。そのような状況下で、企業には、温室効果ガス(GHG)やエネルギー使用量、廃棄物を削減し、環境や社会に価値を提供すると同時に、自社の持続的な成長を実現することが求められる。

「Fujitsu Technology and Service Vision 2023」では、社会課題とビジネスの取り組みをどのように一体化するのか、その実現に向けてテクノロジーが果たす役割について提言。

「Fujitsu Technology and Service Vision 2023」の概要

1.サステナビリティ=ビジネス

様々な外部環境が経営に大きな影響を及ぼす中、企業はサステナビリティに関わる課題解決をビジネス機会と捉え、環境や社会に価値をもたらす事業への変革を経営の重要課題と捉えているという。

しかし、先行しているデジタルトランスフォーメーションと比較して、環境や社会に価値を生み出すための変革であるサステナビリティ・トランスフォーメーションは、これから本格化する段階であるとのことだ。

そのような状況下において、サステナビリティの戦略を実践し、成果を創出するリーダー企業は、サステナビリティをビジネスと一体化する取り組みを進めているという。具体的には、環境・社会価値を創出する取り組みが人々の共感を生み、売上や収益性の向上といった財務価値が創出されるサイクルを構築している。

サステナビリティ=ビジネス

2.テクノロジービジョン

デジタルイノベーションは、企業がサステナビリティ・トランスフォーメーションを実現する上で重要な役割を果たす。デジタル化によるサステナビリティ・トランスフォーメーションにおいて、サステナビリティ・リーダー企業の約8割は、自動化、エクスペリエンス、イノベーション、レジリエンス、トラストの5つの領域が非常に重要だと捉えているとのことだ。

同社は、5つの重点技術領域(AI、ネットワーク、コンピューティング、コンバージングテクノロジー、データ&セキュリティ)の研究開発にリソースを集中し、各領域におけるテクノロジー・イノベーションの実現に取り組んでいる。

自動化:信頼できるAIと人が協調し、創造性やパフォーマンスを向上
エクスペリエンス:AIとの融合でネットワークが高品質化、制約に縛られない世界で可能性を最大化
イノベーション:コンピューティングとAIによってイノベーション全体をデジタル空間上で実現
レジリエンス:人の行動特性や複数のデジタルツインを連携させたコンバージングテクノロジーによって、未来をリデザイン
トラスト:分散型トラスト技術で全てをセキュリティのもとにつなぐ

3.再生型社会に向けたビジネス変革

同社は、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にする」というパーパスを掲げており、環境、人、経済が相互につながり合う持続可能な再生型社会の実現に貢献することを目指しているという。

また、サステナビリティ・トランスフォーメーションのパートナーとして、サステナブルな世界の実現を目指す「Fujitsu Uvance」を中心に、環境問題の解決、人々のウェルビーイングの向上、持続可能な経済成長の実現に向けたビジネスの変革に顧客と共に取り組んでいくとしている。