丸紅新電力は、東芝エネルギーシステムズに運用代行を委託し、需給調整市場に参入すると発表した。

両社は、東芝エネルギーシステムズの需給調整市場用ACRAシステム(※1)を活用し9月初旬から、東京エリア(※2)において、丸紅新電力が運用するガス火力発電所である川崎クリーンパワー(以下、対象発電所)を活用し、需給調整市場三次調整力②(※3)の取引を開始するという。

需給調整市場は、一般送配電事業者(※4)が電力供給区域の周波数制御・需給バランス調整を行うために必要となる調整力を調達するため、2021年4月に開設。

需給調整市場で扱われる調整力は、今後、気象条件によって出力が変動する太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入拡大などに伴い、今後ますます価値が増大すると見込まれるという。

今回、両社が市場取引を開始する三次調整力②では、電力を供給する前日時点において対象発電所の供給能力に余裕がある場合に入札することが可能。落札でき、かつ一般送配電事業者から電力を供給する当日に発動指令がある場合に、対象発電所より電力を供給するという。

一般送配電事業者からの指令に対して、発電機は45分以内に応動する必要があり(応動時間(※5))、また30分間隔の指令変更にも対応する必要があるとのことだ。

今回のビジネススキーム

両社は、今回の参入を通じて、再エネ関連事業の収益拡大だけでなく、再エネの導入拡大およびカーボンニュートラル社会の実現に貢献していくとしている。

※1 需給調整市場用AC(アグリゲーションコーディネーター)RA(リソースアグリゲーター)システム
※2 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県(富士川以東)
※3 FIT特例①③の予測誤差への対応を目的に前日調達する調整力
※4 旧一般電気事業者(東京電力などの大手電力会社10社)の送電・配電部門
※5 一般送配電事業者から需給調整の指令が出されてから、求められる調整力の供出にかかる時間