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明治は、生理やPMSなどの女性特有の悩みに関する調査を実施し、結果を公表した。
生理に関する悩みは身体的症状だけでなく、働く環境にも課題があるとし、社会全体での理解を広め、生理によるパフォーマンス低下を1日減らすことができると、年間2,602億円相当の経済価値が生じるとの試算も得られたとのことだ。
■生理がある20代〜40代女性の85%が生理の悩みを感じている
20代〜40代の女性4,902人の中から、「この3カ月に生理があった」と回答した4,418人を対象に調査を実施。生理前や生理中の症状で悩みを感じるかと聞くと、85.0%が「悩みがある」と回答した。(図1)
また、生理前や生理中に感じる症状は、「イライラ」が52.4%、「下腹部の痛み」が49.7%、「眠気」が41.4%となり、ほかにも「肌トラブル(35.4%)」や「気分の落ち込み(33.0%)」など、体にも心にも影響を及ぼしている結果となった(図2)。
■働く女性の実態 生理に関する職場の制度、利用する女性は2割しかいない働く女性の7割が職場の理解を求めている
多くの女性が生理の症状で悩んでいる中、働く女性はどのように対応しているのか、調査対象者の中から働く女性1,200人に調査。生理に関する職場の制度について聞くと、2割は「有給の生理休暇制度」があると答えているが、そのうち、制度を実際に利用しているのは2割の21.4%しかいないことが判明した。(図3)。
また、生理の症状や悩みによって、働く女性の8割が「困った経験がある」と回答。(図4)
なお、割近くの77.6%が「職場の上司や同僚に生理に関する理解を深めてほしい」と望んでたとのことだ。(図5)
■働く女性の8割が生理で困った経験あり、生理中の仕事のパフォーマンスは普段より2割もダウン
生理で悩む働く女性の職場環境はまだまだ厳しく、仕事のパフォーマンスにも影響しそうだという。
普段の仕事中のパフォーマンスを100とした場合、生理の症状があるときのパフォーマンスを聞くと、平均で80.2となり、20ポイントも低下していることがわかった。(図6)
生理の症状は、イライラや痛みなど自分自身をつらくさせるだけでなく、仕事のパフォーマンスにも大きなマイナスとなっているとのことだ。
■生理の症状に対して3割は何もしないまま…理由は「がまん」「わからない」「あきらめ」
生理の症状があるとき、28.8%は「対策をしない」と答え、しない理由として多かったのは「がまんできる」が41.9%、「対策がわからない」が25.7%、「仕方がない」が25.1%という結果となった。(図7)
対策している人でも、「鎮痛剤」が64.9%、「睡眠や休息」が44.0%、「体を温める」が42.3%などの対処が多く、根本的な解決に取り組んでいる人は少ないことがうかがえた。(図8)。
■生理の症状は栄養状態と「関連あり」。でも、生理の対策として食の工夫をしている人は15%しかいない
最後に、生理の症状と栄養状態について聞くと、59.3%が「関連があると思う」と回答。(図9)。しかし、図8の通り、生理への対策をしている人で「食事の見直しや効果がありそうな食品の摂取」を実践しているのは15.1%という結果になった。
■生理の症状でのパフォーマンス低下を1カ月に1日減らすことができたとしたら、年間約2,602億円相当の経済価値が期待
前述(図6)の通り、生理前・生理時の症状(以下、月経随伴症状)は働く女性のパフォーマンスを2割低下させることから、経済的観点でも影響があると考えられるとしている。
そこで、今回の調査結果や既存の調査結果などを基に、働く女性の就業中のプレゼンティーイズムによる経済的影響などについて、慶応義塾大学大学院経営管理研究科の岡田正大教授が算出したとのことだ。
【月経随伴症状によるプレゼンティーイズムを1カ月に1日減らすと、年間2,602億円相当の経済価値に】
従業員が出社していても、何らかの不調のためパフォーマンスが伴わない状況のことをプレゼンティーイズムと呼ぶ。
今回、20〜49歳女性のうち、月経随伴症状で症状のつらい日・不快な日は1カ月に生理前で平均3.06日、生理中で平均2.71日と想定しているが、これらを感じる頻度や症状のレベルを考え合わせ、就業上でパフォーマンスが低下する日数を2.12日/月と推定。
その結果、出勤するが効率が低下する日数を1日減らすことができた時の経済価値を試算すると、年間2,602億円のプラスの経済価値が生じることが推定されたとのことだ。
パフォーマンスの低下には、どうしても避け切れない身体的な諸症状もあれば、職場の環境など、さまざまな要因が考えられ、前述(図3)では、ほとんどの人は生理のつらい症状があるときでも休んでいないという実情も明らかとなった。
つらい時には我慢せず休みを取得できる職場制度の整備や周囲のサポートで社会的ストレスを軽減すると同時に、身体的な面でのストレス軽減、すなわち勤務中の症状緩和も重要な意味を持つと考えられるとし、「働く女性が日々の働きや活動の効率を普段と比べて落ちないようにすること」の経済的効果は極めて大きいとしている。
<調査概要>
実施時期:2021年9月22日~9月24日
調査手法:インターネット調査
調査対象:
(1)全国の20代〜40代男女10,000人(性年代別の人口構成比で割り付け)(図1、図2)
(2)3カ月以内に定期的に生理がある20~40代の働く女性1,200人(各年代400人)
構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある。
<参考>
明治「生理の悩み実態調査」