政府は、東京都、京都府、大阪府、兵庫県、愛知県、福岡県、北海道、岡山県、広島県、沖縄県の緊急事態宣言および埼玉県、千葉県、神奈川県、岐阜県、三重県、群馬県、石川県、熊本県のまん延防止等重点措置を6月20日まで延長すると発表した。

緊急事態宣言区域では、感染拡大の主な起点となっている飲食の場面に対する対策の更なる強化を図るとともに、従来株から英国で最初に検出された変異株にほぼ置き換わったと推定されること等を踏まえ、人の流れを抑制するための措置等を講じる、積極的な検査戦略を実施するなど、徹底した感染防止策に取り組むという。

まん延防止等重点措置区域においては、都道府県が定める期間、区域等において、飲食を伴うものなど感染リスクが高く感染拡大の主な起点となっている場面等に効果的な対策を徹底。

特に、緊急事態宣言区域で厳しい措置がとられることを踏まえ、隣接地域への感染の滲み出しを防ぐため、各都道府県の判断で対策強化を可能とするとのことだ。

また、その他の感染の再拡大が認められる地域では、政府と都道府県が密接に連携しながら、重点的・集中的なPCR検査や営業時間短縮要請等を実施するとともに、まん延防止等重点措置を機動的に活用するなど、速やかに効果的で強い感染対策等を講じていくという。

緊急事態宣言

6月以降の緊急事態宣言期間における取組は以下となる。

1.飲食対策の徹底・人流抑制

緊急事態宣言区域において、飲食の場面に対する対策や、人と人との接触機会を減らすための人流対策など、効果的な取組を継続・徹底

  • 酒類又はカラオケ設備を提供する飲食店等に対する休業要請、左記以外の飲食店に対する20時までの時短要請(命令・罰則等の適切な運用)
  • 催物・イベントは、人数上限5000人・収容率50%・21時までの開催要請
  • 大規模集客施設に対する20時までの時短要請
  • テレワークの活用等による出勤者数の7割削減
  • (地域の感染状況に応じた都道府県独自の取組)等

飲食店における感染防止策の第三者認証の促進

2.ワクチン接種の円滑化・加速化

高齢者接種の着実な推進

  • 6月末までに、高齢者約3600万人2回分のファイザー社ワクチンの配布を完了
  • 高齢者向け接種の終了時期の見込みについて、7月末までと回答した自治体が、全体の9割強
  • モデルナ社ワクチンの承認に伴い、大規模接種会場における接種も含め、高齢者向け接種を更に強力に促進

ワクチン接種を実施する診療所ごとの接種回数の底上げを図るため、1回当たり2,070円となっている接種単価に加え、下記を交付。

  • 週100回以上の接種を7月末までに4週間以上行う場合には、1回当たり2,000円
  • 週150回以上の接種を7月末までに4週間以上行う場合には、1回当たり3,000円

この他、医療機関が1日当たりまとまった規模の個別接種を行った場合および病院が特別な体制を組んでまとまった規模の個別接種を一定期間行った場合の支援を実施。

ワクチン接種のための医師、看護職員、歯科医師以外の医療関係者の確保について

  • 今後のワクチン接種の進展を見据え、様々な医療関係職種に専門性を発揮し、協力してもらうための連携の在り方等について検討

3.検査の拡充(学校、職場等クラスターの多様化対策)

  • 最大約800万回分の抗原簡易キットを高齢者施設、医療機関等に速やかに配布するとともに、最大約80万回分を医療機関との連携体制の確立を図りつつ大学、専門学校、高校、特別支援学校等に配布。健康観察アプリも活用し、軽症状者に速やかに検査
  • 職場において、健康観察アプリの活用や軽症状者に抗原簡易キット等を活用した速やかな検査の促進
  • 通所系の介護事業所を対象に加えた上で、高齢者施設等の集中的検査の推進
  • 検査体制整備計画に基づき、PCR検査能力の向上等を目指し、設備増強、民間検査機関との協力等
  • 不要不急の帰省や旅行などの都道府県間の移動は極力控えるよう促し、どうしても避けられない場合は感染
  • 防止策の徹底とともに、出発前又は到着地での検査の勧奨等を促進

4.水際対策を含む変異株対策

  • 変異株B.1.617への水際対策の強化(10日間の施設待機等や在留資格保持者の再入国拒否の対象国・地域および入国者数制限についての検討を継続)
  • 民間検査機関や大学等と連携したゲノム解析や変異株PCR検査による国内監視体制の強化。変異株事例に対する積極的疫学調査や検査の徹底。

5.医療提供体制等の一層の確保

  • 診療所の役割強化(感染症対応能力の向上、宿泊療養・自宅療養患者への関与拡大)
  • 公的病院等でのコロナ対応の一層の取り組み、緊急的な看護師派遣、都道府県域を超えた重症患者の広域移送など、災害医療ととらえた都道府県の病床・人材の確保に対する政府の支援の更なる強化
  • 保健所の機能強化(感染状況に応じた保健所業務の重点化、情報管理等のデジタル化の向上、地域のネットワークと連携したIHEATの活用等)に対する政府の支援の更なる強化

まん延防止等重点措置

また、以下が新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置に関する公示の変更。

1.まん延防止等重点措置を実施すべき期間

4月20日から6月20日までとする。各区域におけるまん延防止等重点措置を実施すべき期間は次のとおり。

  • 埼玉県、千葉県および神奈川県については、4月20日から6月20日までとする。
  • 岐阜県および三重県については、5月9日から6月20日までとする。
  • 群馬県、石川県および熊本県については、5月16日から6月13日までとする。

ただし、まん延防止等重点措置を実施する必要がなくなったと認められるときは、新型インフルエンザ等対策特別措置法第31条の4第4項の規定に基づき、速やかにまん延防止等重点措置を集中的に実施する必要がある事態が終了した旨を公示することとする。

2.まん延防止等重点措置を実施すべき区域

群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、岐阜県、三重県および熊本県の区域とする。

3.まん延防止等重点措置の概要

新型コロナウイルス感染症について

  • 肺炎の発生頻度が季節性インフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いと認められること
  • 特定の区域が属する都道府県において感染が拡大するおそれがあり、それに伴い医療提供体制・公衆衛生体制に支障が生ずるおそれがあることから、国民の生命および健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあり、かつ、特定の区域において、国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある当該区域におけるまん延を防止するため、まん延防止等重点措置を集中的に実施する必要がある事態が発生したと認められる。