第一生命は、慢性心不全患者向けの再生医薬品の開発を行う国内ベンチャー企業のメトセラに対し、ESG投資の一環であるインパクト投資として1億円の投資を実施したと発表した。

メトセラは、心臓機能の回復に適した線維芽細胞(メトセラが独自に発見)を活用した治療法を開発するベンチャー企業。

高齢化や生活習慣病の増加に伴い心不全患者は世界的に増加傾向にあるが、依然として根本的な治療法は存在しないとされている。

同社の治療法は、患者自身の心臓線維芽細胞を用いてカテーテル投与する手法であるため、免疫抑制剤が不要となることによる患者への治療負担軽減や治療コスト削減、手術負担の軽減などのメリットが存在するという。

同投資を通じて、高い投資収益を期待するとともに、心不全患者の健康寿命延伸(社会的インパクト)が期待されるメトセラの取組みを資金面からサポートし、その進捗状況を継続的にモニタリングしていくとのことだ。

同社は、引き続き運用手法の高度化・多様化によって資産運用収益の向上を図るとともに、責任ある機関投資家として持続可能な社会の形成に寄与すべく、ESG投資に積極的に取り組んでいくとしている。

メトセラ代表取締役の岩宮氏・野上氏は以下のように述べている。

心不全は心臓の機能が低下して十分な量の血液を送り出せなくなる心臓の状態を指し、依然として根本的な治療法が存在しない一方、患者数は増加の一途を辿っています。メトセラは近年の研究を通じて、心機能の回復に特に適した線維芽細胞群(VCAM-1-positiveCardiacFibroblast,“VCF”)が存在することを明らかにしました。

VCFは培養が容易で低コスト製造が可能でありながら、心臓内でのリンパ管新生や心筋細胞の増殖を促進し、ダメージを受けた心組織を回復させることが分かっています。メトセラは本投資資金をもとに、心不全向けの新しい再生医療等製品の製品化を推し進め、これまで十分な治療効果を得られなかった患者さまに対して新たな治療手段を提供するとともに、心不全根治療法の実現によって医療経済や社会保障負担の軽減にも貢献することで、個人と社会の両面から大きな社会的インパクトを創出して参ります