3月に行われた全国一斉休校により、新型コロナウイルスは教育にも大きな影響を及ぼした。

休校中でも学びの機会を止めないためにオンライン授業に踏み切った学校も多い。オンラインでの学習が日常になった生徒も少なくないだろう。

パンデミック収束後もリモートワークの継続を検討・実行する企業が多く見られるのと同じに、今後は教育の形も大きく変化するだろうとの見方が広がっている。オンライン教育やテクノロジーを駆使した教育が一気に広がる可能性もある。

こうした新しい教育が目前となり、実際にオンライン教育が広く行われるようになった中、日本でも新しいEdTechが続々と誕生している。

今回は、今注目されているEdTechのサービスを紹介していこう。

オンライン部活指導「ICT部活動支援」

ict bukatsu

「ICT部活動支援」は、ソフトバンクが提供する小学校、中学校、高等学校を対象に、体育の授業や部活動の指導において学校が抱える課題を解決し、スポーツを通した子どもたちの成長をサポートすることを目指すサービス。

体育・部活動顧問の教師や生徒は、スマートフォンやタブレット、パソコンで、動画を活用したオンラインプライベートレッスンが受けられる「スマートコーチ」のプラットフォームを利用して、知識や経験が豊富な専門のコーチからオンラインによる遠隔指導を受けることが可能となる。

なお現在この仕組みは大学の授業や自治体でも取り入れられ、広がりを見せているという。

「ボーカロイド教育版」

ニコニコ動画などでおなじみの歌声合成ソフト「VOCALOID™」が、今では学校教育用に最適化されている。

指導計画と展開例や、活動内容に合わせて使えるワークシート、伴奏音源のデータなども付属しているため、手軽に学校授業に導入することが可能となっている。

また、パソコン・タブレットで、直感的に操作できるようになっているため、楽譜が読めなくても誰でも「音楽づくり・創作」に取り組むことができるとのことだ。

教育機関向け匿名報告・相談ツール「STOPit」

stopit

匿名報告・相談アプリSTOPitは、いじめを見つけた子どもたち、いじめに苦しんでいる子どもたちのために、いつでもどこでも匿名で報告・相談できるアプリ。

組織担当者の管理ツール「DOCUMENTit」と連携したプラットフォームとなっており、生徒からの報告・相談を教師側も効率よく管理・対応できようになっている。

また、生徒と担当者が匿名でコミュニケーションをとることができる「STOPitメッセンジャー」機能もあるため、子供達も周囲の人間関係やプライバシーを気にすることなく、学校側に安心して相談できるとのことだ。

統合型コラボレーションツール「Lark」

lark

オンライン授業を行うにあたって、必要なのはZoomなどのビデオ会議ツールだけでなく、資料の共有をするためのストレージツールや教師、生徒感で授業予定の共有をするためのカレンダーツール、授業外での質問を受けたり、コミュニケーションをとったりするためのチャットツールなど多岐に渡るツールが必要だ。

「Lark」は、オンライン授業を実現するビデオ会議だけでなく、チャット、カレンダー、ドキュメント作成と共有、ストレージなど、教育機関で使える各種機能が揃った統合型コラボレーションツール。

オンライン授業をするためのツールを一元化できるため、生徒にとっても授業を実施する教師にとっても、いちいちツールを切り替えなければならない煩雑さがなくなるという。

ハイブリッド黒板アプリ「Kocri(コクリ)」

今まで黒板を使用した対面授業しか行って来なかった教師にとって、オンライン授業のための慣れない動画作成などはかなり大きな負荷となる。

そうした課題を解決するのが、ハイブリッド黒板アプリ「Kocri(コクリ)」だ。

同サービスを利用することで、従来通り黒板で授業を行いながらタブレットとプロジェクタを使って動画や画像を黒板に一瞬で映すことが可能となる。

チョークで書くのが大変な長文、図形、難しい絵、さらに動画までタブレットやiPhoneから直接黒板に映すことができたり、前回授業した分の板書をすぐに映し出したりすることもできるため、通常の対面授業でも活用することができる。

このようにEdTechサービスは、遠隔での教育で使えるビデオ会議ツールにとどまらず、教師にとっても生徒にとっても利用しやすいように、ますます多様な広がりを見せている。

アフターコロナの教育業界では、こうしたEdTechがニューノーマルになっていくのかもしれない。