オウケイウェイヴは2019年2月27日、近年、EC市場が急速に成長し、世界から注目を集めている中国について、同社が運営する情報サイト「サポツウ!」から得た情報をもとに中国のEC市場の現状と独特なカスタマーサポート事情を発表した。
中国のEC市場はアリババと京東が約8割を占めほぼ寡占状態に
平成30年4月に経産省商務情報政策局より発表した「平成29年度日本におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、2017年度中国のBtoC-EC市場規模は11,153億ドルを占め、対前年比35%の成長率で世界1位となっている。
このような世界第1位の規模である中国EC市場だが、オウケイウェイヴによると、実はアリババグループの「タオバオ」「Tmall」が約6割、京東グループの「京東商城(JD.com)」が約2割と、この2社で市場の約8割を占め、ほぼ寡占している状況だという。
そのうち、BtoCを中心にしたECサイト「Tmall」は日本の大手企業も出店している中国最大のショッピングモールとなっているという。
多くのECサイトが問い合わせ対応のためのチャットツールを装備
中国のECサイトでは、購入する前に、商品に関する疑問や不安点を店側に投げかけ、納得いくまで回答を得るという顧客慣習が見られるという。
そのため、多くのECサイトが、問い合わせ対応のためのチャットツールを装備している。この中で、もっとも顧客になじみ深いのはアリババグループが提供する以下の2種類のサポートツールだという。
- 阿里旺旺(アリワンワン)
「タオバオ」、「Tmall」に出店している店側に問合わせをするために使う有人チャットツール - 阿里小蜜(ALIME)
「タオバオ」、「Tmall」の運営側アリババへクレーム相談するために使うAIチャットボットツール
「Tmall」のサポートの仕組みは、購入前・購入後商品に関する疑問がある場合はアリワンワン(有人チャット)で店舗に問い合わせをし、そこで解決できなかった場合はALIMEでタオバオ運営側に相談できるような体制を作っているという。
また、有人チャットツールのアリワンワンは、以下のような特徴をもったツールである。
- 店側と直接チャットで会話することが可能
- 配送状況が確認できる
- チャット履歴の保留・参照・転送が可能(一年間)
- PC、スマホ対応・自動同期
店側のオンライン状態や既読有無がわかるため、近い距離感でやり取りが可能なのが最大のメリットだ。また、チャット履歴が残っているため、以前の質問内容を呼び出して追加質問できる利便性も持ち合わせている。
中国では、顧客と友達感覚で接客することで問い合わせのハードルを低くし、気軽に質問できる状況から購買への接続をしているという。
例えば、挨拶で使用する「親(シン)」というSweetie、Honeyの意味を持つ言葉は、日本語の「こんにちは、いらっしゃい!」と同じ意味を持ちはじめ、チャットツール上のデフォルトの挨拶用語となっている。顔文字も距離を縮めるために、頻繁に使用されるという。
オウケイウェイヴによると、このような中国のEC事情を日本国内で参考にしていくには、日本の顧客優先主義の背景を考慮する必要があるという。
このため、日本のEC市場では、顧客のニーズに合わせて多様なサポートチャネルが必要になることから、従来の電話問い合わせ窓口に加え、サイトで利用できるFAQ(よくある質問)ページの開設や、対人・AIチャットボットシステムなど、複数ツールを用意する企業が増えているとしている。
<参照元>
「中国EC市場のカスタマーサポートと日本での応用 世界最大の中国EC市場の成功の裏側「友達感覚のチャット対応」」
オウケイウェイヴ(PR TIMES)