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世界最大のオフィス家具メーカー、米スチールケース・インクは2018年12月18日、日本を含む6カ国(米国・英国・フランス・日本・ドイツ・スペイン)のワーカーを対象に、職場における「創造性」に関する意識調査を実施し、4,802人の回答を「STEELCASE CREATIVITY AT WORK」としてまとめた結果を発表した。
それによると、日本は、仕事で「創造性」を発揮する割合が6カ国中、一番低いという結果になったという。
6カ国中もっとも「創造性」の発揮の必要がないのは日本
この調査では、「創造性」が注目されているのには、以下のような背景があるという。
- 企業のイノベーションへの取り組みが活発化する中、競争優位の重要な差別化要因として注目され始めた。
- 「創造性」は限られた人だけではなく、誰にでも備わった能力であると認識され始めた。
- 不確実で変容し続けるビジネス環境の中で起こる問題は新たな思考でしか解決できない。
- AIの進展は仕事の性質を根本から変え、未来は人間が優位に立つ「創造性」を生かした仕事に重きが置かれる。
- 新社会人である若年層がキャリアに求める期待度は変化し、その重要な部分を占めるのが「創造性」である。
これらを踏まえたうえでまず、「創造性」の定義を聞いたところ、「創造性」という言葉に対し、新たな方法での「問題解決」(61%)という意味でとらえているとする回答が「芸術的才能」(40%)より上回り、新しい定義へと意識が変化していることがわかった。
すべての国で「芸術的才能」より 「問題解決」という回答が上回った。全体でみると「自分を表現する」(44%)、「アイディアの提案」(43%)と続いた。
また、職場で「創造性」を求められる頻度を聞いたところ、全体では、74%の従業員は、職場で、毎日または週ベースで、「創造性」を発揮していると回答した。一方、14%が、会社から「創造性」を求められる機会はないとしている。
そして、国による差も大きいという。米国やドイツは、80%以上が毎日または週ベースで「創造性」を発揮しているが、日本は、54%で、6カ国中一番低い結果になった。「創造性」を発揮する必要がないとの回答も日本が一番多く22%(平均14%)だった。
日本では組織形態や裁量権が少ないことで「創造性」を発揮できず
次に、「創造性」への障壁を聞いたところ、全体では「組織のプロセス」(37%)、「仕事量」(36%)、「テクノロジー」(20%)と「スペース」(20%)に続き、「指導の欠如」(19%)、「上司」(15%)という回答であった。
日本は、「組織のプロセス」(34%)、「仕事量」(31%)、「スペース」(25%)がトップ3の障壁で平均と同じだが、他国と比べ、「創造性の応用力」、「スペース」、「上司」、「同僚」の項目が他国に比べ多い回答であった。
加えて、日本では、仕事を進める過程で組織上、上司の許可が必要な場合が多く、裁量権が少ないことも「創造性」を発揮する機会が少ない要因の一つと思われると同社では分析している。
若年層になるほど創造的スキルの発揮願望が強い
年代による差については、これからの労働力であるZ世代(18-20歳)やY(ミレニアル)世代の3/4以上が、少なくとも週に1度は「創造性」を発揮しており、若年層になればなるほどその機会が多く、創造的スキルを最大限に生かしたいという願望が強いという。
「創造性」への障壁は、Y世代とZ世代は、「仕事量」、X世代(37-52歳)およびベビーブーマー(BB:53-69歳)では「組織のプロセス」という回答が一番多く、世代による差が表れている。
また、Z世代の26%は、組織プロセスと同等に、職場での「スペース」を問題としているという。これは、若年層にとって職場の空間デザインが「創造性」にとって重要な要素であることを意味していると同社では見解を示している。
<参照元>
「米スチールケース社、日本を含む6カ国のワーカー対象、職場における「創造性」に関する意識調査を実施」
スチールケース・インク