帝国データバンクが、従業員不足による収益悪化などが要因となった倒産(個人事業主含む、負債1,000万円以上、法的整理)を「人手不足倒産」と定義し、2019年1~12月に発生した倒産について集計・分析した。

主な調査結果は以下の4点。

・2019年1~12月の人手不足倒産は185件発生し、前年比20.9%の増加。4年連続で過去最多を更新し、右肩上がりの推移が続いた
・業種別件数をみると、「サービス業」が54件を占め最多。「建設業」(49件)がこれに続き、この2業種で全体の過半を占めた
・調査開始以降7年間における業種細分類別では、「道路貨物運送」が74件で最多。このうち、2019年は28件(前年比21.7%増)。トラックドライバーを確保できず、受注難から資金繰りの悪化を招き、倒産に至るケースが増えた
・負債規模別件数では、「1億円未満」の小規模倒産が101件(前年比11.0%増、構成比54.6%)で最多

従業員の定着難や採用難による収益悪化などが要因となった人手不足倒産は、2019 年 1~12 月 で 185 件(前年比 20.9%増、負債総額 326 億 8800 万円)発生。

増加率は前年(44.3%増)より縮小したものの、4 年連続で過去最多を更新し、右肩上がりでの推移が続いている。

また業種では、 建設業や道路貨物運送業のほか、老人福祉事業、受託開発ソフトウエア、美容業などのサービス業が上位を占め、建築職人、トラックドライバー、介護スタッフ、IT 技術者、美容師、エステティシャンなど、専門職の定着や確保に窮した小規模企業で倒産が目立ったという。

今年4月からは、働き方改革関連法が 1 年間の猶予期間を経て中小企業にも適用される。

人手不足感の強い建設業や運送業では、時間外労働の上限規制について 5 年間の猶予が設けられており、労働条件や職場環境の改善が進む企業との格差がさらに広がる可能性もある。

高齢化により ベテラン社員の退職などが進むなか、好条件での従業員確保が困難な小規模企業を中心に、さらなる人手不足倒産の発生も懸念されるとのことだ。

<参照元>
「人手不足倒産」の動向調査(2019年1~12月)
帝国データバンク