バカンは、石川県珠洲市と連携し、珠洲市立大谷小中学校の体育館にて「避難者マネジメントシステム」を用いた避難訓練を実施したと発表した。

同社は、デジタル技術を活用した避難所受付のメリットについて、周辺住民に体験し、理解を深めてもらうとともに、周辺住民・職員からの同システムへのフィードバックを得ることを目的に同訓練を実施したという。
同システムは、複数のサービスを統合し、共通のプラットフォーム上で提供。避難所の所在や混雑状況の把握を可能とするWEBサービス「VACAN Maps」と管理者向け機能「VACAN Console」では、避難所で集計された名簿の人数情報をもとに、避難所のリアルタイム混雑状況を自動的に可視化する機能を有するという。
同機能により、避難所の入所者数と混雑状況がリアルタイムで管理画面とマップに反映され、職員や災害対策本部は追加作業なく状況を把握でき、住民も適切な避難先の選択が可能となっている。
今回の訓練では、蓄電池を電源としたスターリンクでのインターネット接続により、同システムを用いて、避難者の受付・集計を実施。大谷小中学校の周辺住民38名が参加し、各自が最適な受付経路を選択する形式で入所手続きを体験したという。
訓練では、以下の4種類の受付方法が提供されたとのことだ。
(1)QR読取でWebフォームに入力:
避難者が避難所入所時にカメラでQRを読み取り、WEBフォームから情報入力を行う
(2)カードリーダーでの読取:
避難者がマイナンバーカード/運転免許証をカードリーダーにかざす
(3)「LINE」でのQR読取:
同社の「LINE」公式アカウント「VACAN防災」を用いて情報入力を行う
(4)現行の紙媒体への記入:
避難者が避難者カードに記入。職員が記入内容をシステムに転記し報告
同訓練の結果、入所経路の選択傾向としては、「LINE」が最も多く選ばれ、次いでマイナンバーカード、紙、Webフォーム、運転免許証の順となった。
事後アンケートでは、各デジタル経路の操作感に関して肯定的な評価が多数を占め、なかでもマイナンバーカードと運転免許証のカードリーダー受付は「スムーズだった」との回答がいずれも100%を記録。Webフォームは67%、LINEは77%が肯定的な評価を示したという。
また、高齢層はカードや紙、30~60代ではスマートフォン起点の経路が選ばれるなど、年代別の受け止め方の違いも確認された。自由記述では「普段使っているLINEは馴染みやすい」といった声があり、デジタルを用いた入所経路の優位性が示されたとしている。

同社は今後、公共施設の予約や観光・イベント情報の配信などフェーズフリー活用を目指し、安全でスムーズな避難をサポートするため、多くの自治体と協力しながら、さまざまな機能の開発を推進していくとのことだ。
■避難訓練 概要
対象者:珠洲市立大谷小中学校周辺住民
実施場所:珠洲市立大谷小中学校の体育館(石川県珠洲市大谷町1−78)
実施内容:「避難者マネジメントシステム」を用いた避難者の受付・集計