商船三井、カナデビア、ヤンマーパワーソリューションは、LNG燃料船のメタンスリップ削減技術の実船試験において、98%の削減率を達成したと発表した。これは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業『次世代船舶の開発』」に採択されたプロジェクトの一環として実施されたものである。
同事業は、LNG燃料中の未燃メタン排出(メタンスリップ)を対象とし、メタン酸化触媒とエンジンの改良を組み合わせることで、メタンスリップ削減率70%以上を目指す内容で、2021年度から2026年度までの6年間を予定している。
商船三井ら3社は、2025年5月より、同社が運航するLNG燃料大型石炭専用船「REIMEI(苓明)」を用いて、日本・オーストラリア間の海域で実船試験を開始した。海象やエンジン負荷が刻々と変化する実環境下においても、実用域(75%負荷)で高精度な削減効果が確認され、陸上試験を上回る98%の削減率を達成したという。

この成果は、2022年に実施された陸上試験での93.8%削減という数値をさらに上回るものであり、触媒およびEGR(排気ガス再循環)システムを含む実船装置の有効性が示されたかたちである。今後は、2026年度末まで実船試験を継続し、システム全体の性能評価や触媒の耐久性検証を行いながら、2027年度以降の社会実装を目指すとしている。

同プロジェクトは、カナデビアが幹事会社を務め、商船三井およびヤンマーパワーソリューションが共同実施者として参画している。商船三井は、海運分野における温室効果ガス(GHG)排出削減に向け、メタンスリップ対策を含む技術開発に今後も積極的に取り組むとしている。