Hubbleは、契約業務・管理クラウドサービス「Hubble」において、契約業務の進行や意思決定を支援するAIエージェント「Contract Flow Agent」をリリースを開始すると発表した。

AIエージェント「Contract Flow Agent」始動

「Contract Flow Agent」は、Hubbleに蓄積された契約文書、関連する社内外のコミュニケーション、承認フロー履歴、過去の判断基準をAIが横断的に解析し、契約プロセスにおける「次に何をすべきか」を適切に提案する仕組み。

営業担当者や事業部門の現場担当者、そして契約管理を担う法務部門の双方にとって、情報収集や業務調整の負担を軽減するとともに、契約業務全体の効率化とガバナンス強化を同時に実現するとしている。

■「Contract Flow Agent」が提供する仕組み

(1)前捌き(契約書起案前・案件管理):アップロードだけで完結する法務への申請

営業など事業部門は、契約書や見積書などをドラッグ&ドロップするだけで申請可能。AIが瞬時に主要情報(取引先、金額、期間など)を抽出し、自動的に「契約スキーム」を図にまとめるため、手作業によるフォーム入力や資料作成が不要に。

これにより法務とのやり取りが減り、リードタイムが短縮され、契約の品質も向上。

さらに、AIが内容に応じて業務フローも最適化。定型的なNDAなら「法務確認不要」と自動案内し、業務委託契約なら「部長に確認依頼を送るか」などとナビゲートすることで、契約業務全体のスピードが大幅にアップ。

事業部門が契約書や関連書類をアップロードするだけで、AI が当該データの内容を読み取り、精査した上で、法務に必要な情報を整理・可視化(正式リリース時に一部変更される可能性があり)

(2)契約書作成・編集(契約書起案・発生):取引内容に応じた契約書ドラフトを提案

取引金額・業務内容・提案書の内容などのビジネス文脈に応じて、自社の契約書ひな形、社内ルール、過去事例、条項集を参照し、案件に適した契約書ドラフトを自動構成・提案。なお、AIは法律判断や独自の条文起案は行わず、弁護士法に則って運用される。

初期段階から論点が網羅された契約書が整うことで、後工程でのレビュー・調整負担を軽減。

(3)ひな形・マニュアルに基づきリスクを検知:レビュー(審査)の品質向上・組織ナレッジへ

AIが自社の契約書ひな形や法務マニュアルに基づき、契約書に潜むリスクや不整合を自動検知。条文抜け漏れや法的妥当性の不備を洗い出し、整合性・網羅性を高める。また、過去の類似契約との比較により、表現や対応方針の差異を可視化し、最適な判断を支援。

左に契約書、右にAIとの対話が並び、1画面で確認・操作。契約書の内容に対して、ChatのようにAIへ質問や指示をしながらレビューを進められる対話型の審査体験が可能

(4) 承認ガイダンス(押印申請・捺印):承認フローにおける“滞留”と“迷い”をなくす、ナビゲーション

AIが契約書の類型、承認フロー、担当者情報をもとに、「誰が・いつ・どの契約を確認・承認すべきか」をリアルタイムで判断し、HubbleのUI上で次のアクションを明示。

これにより、これまで属人的で個別連絡に依存していた進行管理を一元的に可視化し、関係者全員が迷わず対応できる環境を実現。承認滞留・対応漏れを防ぎ、契約業務の停滞を解消し、組織全体の判断・意思決定スピード向上を支援。

契約締結に向けた一連の業務フローが、AIを起点としてスムーズに進む様子を表した画面イメージ

(5)契約更新ガイダンス(契約管理):重要契約の見極めと対応をAIがサポート

AIが契約内容・取引金額・契約期間などに基づき、更新対応の優先度を自動判断。重要契約については適切なタイミングで更新アラートや具体的な対応提案を、Gmail・Slack・Salesforce等を通じて自動通知。

「Contract Flow Agent」が提供する仕組み

「Contract Flow Agent」の主要機能は2025年10月以降に段階的に正式リリース予定となっており、一部機能はすでにβ版として提供を開始。

同社は今後、ユーザーからのフィードバックを反映しながら、AIによる提案精度をさらに高めるほか、契約業務にとどまらず、他の社内業務への支援機能の拡充も検討するとしている。

さらに、外部システムとの連携を進めることで、社内業務全体の自動化と最適化を促進し、企業全体の業務変革を支える基盤的な存在を目指すとのことだ。