楽天モバイルと楽天シンフォニーは、AIを活用した「RAN Intelligent Controller(RIC)」を国内で初めて商用Open RANネットワークに導入したと発表した。両社は、2025年内にこのRICを全国に展開することで、従来比で約20%のネットワーク消費電力削減を目指すとしている。

RIC導入のイメージ

RICは、無線アクセスネットワーク(RAN)の運用において、トラヒックパターンの解析や需要予測を可能にし、基地局ごとの利用状況に応じた柔軟な制御を実現する。これにより、従来のRANで総電力の約8割を占めていた消費を効率化し、環境負荷の軽減が図られるとのことだ。

今回導入されたRICは、4Gと5Gの両ネットワークに対応しており、AIと機械学習(ML)アルゴリズムを搭載したrApps(RICアプリケーション)によって、トラヒック解析から基地局の使用率調整までを自動化する。これにより、モバイルネットワークのエネルギー効率最大化とコスト効率の向上が期待される。

この取り組みは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)による委託・助成事業の一環として進められており、楽天モバイルはBeyond 5Gに向けた高度なOpen RAN基盤技術の研究成果を応用しているという。

さらに、楽天モバイルと楽天グループは「Go Green Together」プロジェクトの一環として、RICの導入にあわせた環境チャリティーキャンペーンも実施。新規契約1件ごとに1,000円を「環境保全支援グリーン募金」に寄付する取り組みを開始した。

両社は今後も、O-RAN ALLIANCEにおける仕様策定や持続可能なネットワーク構築に向けた活動を通じて、AIと通信インフラの融合による環境負荷の低減とネットワークの最適化を進める方針を示している。