住友林業は、愛知県立春日井高等学校の新校舎が完成し、利用を開始したと発表した。

新校舎は、中央部が木造、両端が鉄筋コンクリート造の平面混構造を採用した3階建てで、木造部分の面積は1,500平方メートルを超える。愛知県内の公立高校としては初となる木造混構造の校舎であり、教育的効果や脱炭素への貢献が期待されているという。
設計は松田平田設計が基本・実施設計を担当し、木造部分の構造設計を住友林業が行った。施工は住友林業と高柳組が共同で実施している。現在、既存校舎と新校舎をつなぐ渡り廊下および昇降口の建設、旧校舎の解体が進められており、2026年3月に完工予定としている。
新校舎には約525平方メートルの木材が使用されており、そのうち約85%にあたる約454平方メートルに愛知県産材を活用したとのことだ。木材の持つ調湿効果により、学習環境の快適性が向上するほか、環境教育にも寄与するという。

また、木造は鉄筋コンクリート造に比べて建物の基礎にかかる荷重が小さく、建設コストの抑制につながるとしている。木造と鉄筋コンクリート造をピン接合し、耐震性を高めた一体構造を実現したとのことだ。
外観には大屋根やバルコニーを採用し、天井高を確保しつつ空気循環や雨がかり防止を図った。日射遮蔽効果のある再生木ルーバーも取り入れられており、環境配慮と建物維持管理の効率化を両立する設計となっているという。

CO2排出削減においては、建物のライフサイクル全体を通じて排出量を低減する方針を掲げ、「One Click LCA」によってエンボディドカーボンを算定。炭素固定量は約104トンCO2e bioで、40年生のスギ約1,200本分に相当するという。