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三井住友トラスト・資産のミライ研究所(以下、ミライ研)は、1万人を対象とした独自アンケート調査を実施し、調査をもとに2024年より始まった新しいNISAに関する分析結果を公表した。
1.NISA口座数は増加傾向、2024年は急伸
2024年に「新しいNISA」が始まり1年が経過。口座数はこの1年で約2,125万口座から約2,560万口座へ約436万口座(約17%)増加し、国民の「貯蓄から投資へ」のマインドチェンジが伺える結果となった。

※2023年までのNISAは一般NISAとつみたてNISAの口座数の合計。2024年12月末は速報値
2.資産形成制度としてのNISAの認知度は?
ミライ研では、現在のNISAの「口座数」だけでは見えない国民のNISAに対する認知・利用意向がどのようになっているのか、またこの1年でどのように変化したのかを分析。
まず、「資産形成のための制度」としての認知度を確認。1万人のアンケート回答者に「制度として知っているもの」を質問したところ(複数回答)、NISA制度の認知度が6割と圧倒的な結果に。
資産形成の制度における認知度は、NISA制度がトップ、次いでiDeCo(個人型確定拠出年金)、財形・社内預金等が続く。
一方で、どの年代においても「この中にはひとつもない」との回答が3割程度存在し、認知度の格差がありそうなことが伺える。

3.この1年でNISAの認知度や利用状況はどう変わった?
この1年で「NISA」の認知度ならびに利用状況はどのように変化したのか、ミライ研が2024年1月に実施した調査データと時系列で比較。
その結果、NISAの「認知度」は全体で14.3%の伸びとなり、どの年代も10%以上の上昇、「利用者」は7.0%の上昇となった。
年代別では、特に60代の認知・利用が1年で最も伸びていることがわかる。すでに利用者が多かった30代は、相対的に伸びが少ないものの、利用率は依然トップの状態となっている。

4.およそ3人に1人が、NISAを“利用している人”もしくは“利用意向がある人”
現在NISAを利用していない人の「利用意向」まで含めるとどうなるのか、同調査でNISAを利用していないと回答した人に対し、「NISA制度を今後利用するか」と聴取。
その結果、「利用済み+利用意向者」の総和は伸びている(30.8%⇒34.1%)ことがわかった。一方で、「利用しない・おそらく利用しない」旨の回答者も顕著に伸びている(29.0%⇒36.7%)ことがわかる。
NISAを利用するのかしないのか、この1年である程度はっきりさせた人が相当数いると同社は考察。

さらに、このデータを年代別に分析すると、18-29歳以下のNISA検討とNISA利用が最も進み、かつ、60代の「利用しない」層が顕著に多いこともわかった。

5.金融教育の経験やライフプランニングがカギ?
次に、保有する金融資産額と利用率・利用意向をクロス分析したところ、18-29歳の一部を除き、どの年代も「資産額」が多いほど「NISA利用者/利用意向者」は多い傾向であることがわかる。
年代間を比較すると、若年層は資産が少なくてもNISA利用が進んでおり、資産額500万円未満の18-29歳の利用率と、資産額1,000万円~2,000万円の60代の利用率がほぼ同じであることがうかがえる。
この傾向は、「利用意向者」を含めても同様となっているとのことだ。

もう一つ、顕著に差が出ているのが、「金融教育の受講経験」や「ライフプランニング」。
どこかしらの“場”で、金融教育を受けた経験がある人は、NISAの利用済+利用意向ありの割合が、未経験者に比べて大きくなっている。
特に、実際にNISAを活用できる年齢に達しているであろう、「短大生・大学生・大学院生・専門学校生」や「社会人」のタイミングで教育を受けた層は、NISA利用率が顕著に高い傾向がみられる。

また、「ライフプランを立てている人」は、そうでない人に比べて顕著にNISAの活用が進んでいる結果に。自身の長期的な“家計のあり姿”を描くことで、そのプラン実現に向けたアクションとして「NISAを活用した資産形成」が選ばれているものと同社は推察している。

【調査概要】
調査名:「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2025年)
調査対象:全国の18~69歳※ただし関連業種(金融、調査、マスコミ、広告)従事者を除く
調査方法:WEBアンケート調査
調査時期:2025年1月
サンプルサイズ:11,435
備考:端数処理の関係上、割合については合計で100%とならない場合あり
<参考>
三井住友トラスト・資産のミライ研究所『住まいと資産形成に関する意識と実態調査』