TXP Medicalと東京消防庁は、救急隊業務に生成AIを活用した救急医療情報システムの実証検証を開始したと発表した。

東京消防庁ら、生成AI活用した救急医療情報システムを実証検証

この取り組みは、東京消防庁の「INNOVATION PROJECT」の一環としてという。

同実証検証では、救急隊と医療機関間でのデジタル情報共有を行う「NSER mobile」に、救急隊が現場の傷病者情報を音声入力すると、生成AIによる構造化された救急活動記録が作成される機能を搭載。

これにより、救急隊員は入力方法やデータフォーマットを意識することなく、効率的かつ詳細に傷病者の状態を記録し、医療機関と情報共有が可能となるとしている。

実証イメージ

東京都の救急出動件数は、2020年の720,965件から2023年には918,311件と急増しており、救急活動における情報管理の効率化が求められている。この実証検証により、救急活動における情報管理の効率化の効果を検証するとのことだ。

■「NSER mobile」特徴

「NSER mobile」は、救急現場と搬送先医療機関間のコミュニケーションを円滑にし、救急対応の効率化を図るシステム。救急車に配備されたタブレットでAIを活用し、効率的に収集した傷病者情報を迅速に搬送先病院に送信し、病院の受け入れ準備を効率化するという。

また、事案情報入力に加え、病歴やバイタルサイン、静止画、動画情報の共有、一斉照会機能、診療科ごとの応需可否情報、応需履歴の共有、事後検証機能、OA機能など、救急医療におけるデータプラットフォームとしての機能を実装。

従来の電話と紙の帳票によるコミュニケーションをデジタル化することで、救急医療の見える化を実現し、搬送業務や情報共有が大幅に改善されるとしている。

■実証概要

実証検証内容
・救急医療情報システムへの音声入力において生成AIを利用することでの入力支援検証
・OA連携検証
・導入による効果の定量測定(時間測定)

今回の実証検証の期待効果
・傷病者データ共有による、搬送受け入れ先病院が決定するまでの時間短縮
・口頭での説明事項の減少による、救急隊と病院間の平均通話時間の短縮
・傷病者データ共有による相互マッチングでの傷病者搬送の適正化
・救急活動報告書の作成補助機能による、救急隊員の書類作成業務にかかる負荷の軽減
・搬送事例のデータ解析による救急搬送体制の可視化と搬送プロセスの効率化

実施概要
期間:2024年11月~2025年4月
内容:
2024年11月・12月/シナリオによるデモンストレーション
2025年1月以降/都内救急実搬送にて利用(予定)

今後の展望
実証検証を通じ、救急現場に必要とされるシステム・AIやその機能、あり方について検証を行うとともに、「NSER mobile」の有効性を発表。