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新世代のA(Action)面とB(Business)面に密着するインタビュー企画。第3回に登場するのは、そわんわんさん。B面ではイギリスに留学をしながらインフルエンサーの活動も続けるそわんわんさんのクリエイターとしての価値観に迫ります。
- 【そわんわん】
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1999年2月19日和歌山県出身。
ポジティブなマインドと個性を生かしたファッションでたくさんの方に愛される“お友達系YouTuber”。雑誌『la farfa』では専属モデルを務めるほか、様々な企業とのタイアップで注目を集めている。
- YouTube: https://www.youtube.com/@_wanco02m
- Instagram: https://www.instagram.com/_wanco02m//
- X: https://twitter.com/_wanco02m/
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ネットよりリアルが一番大事。|そわんわんのA面
「共感」こそ発信する意味
ーそわんわんさんはYouTubeをメインに発信されていますが、運用する上で一番大事にしていることは何ですか?
続けることですね。発信のために活動しているのに、それを続けなければ、見てくれる方も私が何をしたいのか分からないじゃないですか。YouTubeは、私がやりたいことと実際にしていることを繋げる場だと思っているので、続けていかないと何も始まらないと思っています。
ーそわんわんさんは語りの動画も多いですよね。メッセージや価値観を発信する上で最も重要だと考えていることを教えてください。
「誰かを否定していないか」という点は特に気をつけています。自分が思ったとしても、その言葉が誰かを否定してしまうとしたら、他の言葉に言い換えられないかを考えます。
また、発信する立場として、その言葉や文章が共感を得られるかどうかも意識しています。ただ自分の考えを述べるだけなら、発信しなくてもいいと思うんです。だからこそ、発信する意味は“共感”にあると思うんですよ。その言葉を聞いて励まされたり、一人じゃないんだって安心できたり。そう思ってもらえるような発信をしていきたいと考えています。
うまくいかないのが当たり前。挑戦と失敗への向き合い方
ーインフルエンサー活動を始めてから、大きな挑戦だったと思うことはありますか?
特に「大きな挑戦」と思うことはないですね。やりたいことをして、やりたくないことはやらないようにしているので。ただ、ロンドンへの留学は挑戦と言えるかもしれないですけど、私の中では“好奇心”という感じで。住んでみたい、環境を変えてみたい、と思って決めたことなので、挑戦だとは考えていないです。
ーインフルエンサー活動の中で直面した失敗にはどのように向き合いましたか?
失敗やうまくいかないことはたくさんありましたが、失敗しないと何がうまくいったのか、何が良かったからそうなったのかが分からないじゃないですか。それに、私は「うまくいかないことの方が当たり前」と思っているので、失敗してもあまり気にしていないです。
ーそう考えるようになったのには、どんな背景があるのでしょうか。
小学校の頃から、自分一人だけできないことが多くて。リコーダーなんかは、一人だけずっと居残りして練習していましたね。でも、できないものは仕方ないじゃないですか。落ち込んでも意味がないので、頑張るか諦めるかの2択しかないと思うようになりました。悩んで時間を無駄にするくらいなら、きっぱり諦めるのも一つの選択肢だと思っています。
手を差し伸べたい。ファンへの思い
ー視聴者のエンゲージメントを高めるために、どんなことをしていますか?
Instagramでメインアカウントとサブアカウントの2つを運用していて、サブアカウントは、私にもっと興味を持ってくれている方や、好きだと思ってくれている方がフォローしてくれています。そのサブアカウントで、DMを返したり、インスタライブをしたり、日常的にファンの子たちとの濃いコミュニケーションを取るようにしています。
もちろんエンゲージメントの数字も大切ですが、私の場合はそれを意識するというより、純粋にコミュニケーションを取りたいと思っているんです。DMを送ってくれる方は何か言いたいことがあって、返事を待っていると思うので、少しでも期待に応えたいと思っています。
また、「自分だけ」とか、「自分ははみ出しているんだ」と不安を抱えている子に対して、そうじゃないよ、と伝えたくて返信しているので、自然とコミュニケーションをとっている感じですね。
ー否定しない、自分だけじゃないと伝えたい、といった価値観はやっぱり幼少期の経験から生まれたのでしょうか?
幼少期の経験も少なからず影響はあると思いますが、それだけではないですね。例えば、目の前で自ら命を絶とうとしている人がいたら、全然知らない人でも止めようとするじゃないですか。それと同じように、悩みを抱えている人がいたら、手を差し伸べたいという思いが大きいです。
好きなことを発信し、優しい言葉をかけられるように
ー発信するコンテンツのネタはどのように決めていますか?
普段は散歩しながら思いついたネタを発信しているのですが、日常の中からみんなが共感できるような内容を切り取ることが多いです。あと、例えば料理が苦手な私が何か作った時とか、ちょっとした成長があった時に「今の自分を見てほしい」と思って動画にすることもあります。
ーコンテンツのアイデアを得るためにしていることがあれば教えてください。
一人でYouTubeを運営しているので、自分から外に出ないと新しい話題がなかなか生まれないんですよね。だから、一人でどこかへ行ったり、やったことがないことをしたりしてネタを探しています。
あと、視聴者に共感してもらえる言葉を届けたいので、コメントを読んだり、本を読んだりもしています。というのも、私自身はあんまり悩むことがないんですよ。なので、その人の気持ちに寄り添いたいと思っても、うまく気持ちを汲み取れないことがあって。コメントや本を通じて、人の意見や考え方を学ぶことで、優しい言葉をかけられるように心がけています。
ー視聴者の関心やトレンドをどのように把握していますか?
視聴者が送ってきてくれるDMを参考にして、動画のテーマを決めることはあります。ただ、基本的には自分の好きなことを発信しているので、トレンドはあまり意識していないですね。自分の好きなものを発信していれば、それを好きと言ってくれる人たちが自然と集まってきてくれると思っています。
みんなで良いものを作り上げたい。コラボで大事なこと
ーコラボレーションしたいブランドや企業はありますか?
生理用品のパッケージデザインでコラボレーションをしてみたいですね。今、『anan』でフェムケアに関する連載をさせていただいている中で、生理について改めて考えてみたり、考え方が変わったりしていて。
女性にとって「生理は隠すもの」というイメージは強く、特に小中学生は話しづらいことも多いと思うんですよ。でも、かわいいデザインの生理用品があれば、「これかわいくない?」とか「こんなのあるんだよ」と、自然に人と共有したくなると思うんです。今のパッケージは、いかにも生理用品らしさが強いですが、見た目を変えることで、少しでも気持ちが前向きになれたらいいなと思っています。
ーコラボレーションを選ぶ際の基準は何ですか?
まず、自分がそのブランドを好きであること、愛用していることが一番の基準です。そうでない場合でも、自分の日常に違和感なく取り入れることができるものであることが重要です。例えば、シーシャ(水たばこ)とのコラボレーションのお話があったとしても、私自身がそれを日常に取り入れられないし、見ている人たちも違和感を与えてしまうと思うので、そういったコラボはしないですね。
ー過去のコラボレーションで特に成功したと感じるプロジェクトはありますか?
全部うまくいったと思っています。自分に落とし込めて、ちゃんと商品が売れたこともそうですが、何よりコラボレーションしたブランドの方々と販売まで密にコミュニケーションを取り、意見を出し合いながらみんなで良いものを作り上げられたことが大きいですね。その過程も楽しいのと、コラボレーションだけで終わらず、付き合いが繋がっていくのが嬉しいです。いまではデザイナーさんのご家族とプライベートでも過ごすくらい、仲が続いてたりします。
憧れてもらえる自分でありたい。今も続く成長
ー「ちょっとした成長を発信」というお話がありましたが、成長を発信するために取り組んでいることがあれば教えてください。
私は共感を大事にしていますが、「分かる分かる」と共感するだけでは成長を感じられないと思っています。だから、成長した姿だけでなく、今まさに成長しているという過程も見せるようにしています。例えば、キラキラしているところだけではなく、病んでいる時のことも話すとか。
また、やりたいことを口に出すことも大事にしています。「ロンドンに行きたい」というのもスタイルブックに書いたし、「いつか海外に住んでみたい」と動画でも話していて、発言がちゃんと残っているんです。そうすることで、過程を見守ってくれる方が増えたり、有言実行する姿を見て「私も頑張ろう」と思ってくれたりするんです。
それ以外にも、見た目の変化は一番わかりやすいと思うので、目に見える変化も意識しています。
ー成長を続けるために意識していることはありますか?
自分がどうありたいかは常に意識しています。年齢にこだわっているわけではないですが、YouTubeを始めて7年が経ち、私自身が25歳になったことで、自分が成長すると共にファンも一緒に年齢を重ねてきていると思います。今は、将来どうありたいかを定める時期だと思っていて、今の目標は、みんなから憧れてもらえるような自分であることです。
ー今後やってみたいことはありますか?
もっとナチュラルに生きて、そのメッセージを伝えていきたいと思っています。服もコスメも友達も、みんないっぱい持っていると思うんですが、それでも「もっとほしい」「寂しい」と感じることがありますよね。それって、自分がすでに持っているものに気づいていないからだと思うんです。
目に見えるものだけが全てではなく、みんな既に誰かに愛されているし、優しくされているし、自分も誰かに優しくしているはずです。なので「もうすでにみんな持っているよ」ということを伝えていきたいですね。これは自分自身にもすごく思います。
まずは、部屋の掃除から始めたいと思います(笑)。今の自分にとって必要ないものを整理して、家から綺麗にしたいです。ちょうど今、日本からロンドンに帰る準備をしているので、何が必要か、自分を着飾るためのものではないかと、物の断捨離を通じて自分と向き合っているところです。
SNSでの発信において「共感」が重要なキーワードの一つであると語るそわんわんさん。その背景には、自分自身を含むあらゆる「人」を大切にする思いがあるからなのではないかと、取材を通じて感じた。「人が好き」と語るそわんわんさんは、友人やファンなどの自分の近くにいる人に限らず、たとえその場限りの出会いでもちゃんと向き合おうとする。いろいろな人を大切にするそのマインドこそ、沢山の人の憧れとなるのかもしれない。
文:安藤 ショウカ
写真:小笠原 大介