●一つの企業でのみ役立つスキルではなく、どこでも活用できるスキルを身に付けたい
●終身雇用ではないので、(ポータブルスキルは)必須だと思う

これらは、株式会社 学情が行ったアンケート調査で寄せられた、2025年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生のリアルな声だ。調査内では、約8割の学生が、「ポータブルスキルの習得を重視する」と回答。今の若手層は企業や職種に依存せず、どのような環境でも生かすことができる“自分自身のスキルを磨く”ことに重きを置いていることが分かる。

現代では、企業に属さないフリーランスやインフルエンサーなど働き方が多様化し、起業ハードルも下がってきている。また、就職自体も転職することが前提となりつつあり、より個としてのスキルが試されるようになった。これは、組織に依存しない分、自身でキャリアプランを立てる重要性が増したともいえるだろう。

このような時代、どのようにキャリアビジョンを描き、スキルを磨いていくべきか。今回は、前代未聞の“ギャル校長”として、原宿寄りの渋谷「東急プラザ表参道『オモカド』」に通信制サポート校「渋谷女子インターナショナルスクール(以下、シブジョ)」を創設した、赤荻 瞳氏からその手がかりを探る。「渋谷から世界へ」羽ばたく人材育成を掲げてスタートしてから1年半を経ての感触とともに、高校中退・広告代理店勤務・「egg」元編集長など、異色の経歴を重ねてきた赤荻氏(以下、敬称略)ならではの視点で、これからの時代に必要と考えるスキルやマインドについて伺った。

卒業後の進路を進学・就職の二択に絞らない、世界活躍人材を掲げる通信制サポート校

シブジョは、卒業後の進路を進学か就職の二択ではなく、起業、留学、フリーランスなどのさまざまな道を、生徒が当たり前の選択肢として捉えられるような学びを育むことを目的とする通信制の女子校だ。「渋谷から世界へ」を教育理念に、原宿のど真ん中という異色の立地に校舎を構え、1年半がたった。なぜこの場所で女子校の創設に至ったのだろうか。

渋谷女子インターナショナルスクール 校長 赤荻 瞳氏

赤荻「『egg』編集長時代には、さまざまなモデルの子たちと関わって、いろんな仕事に一緒に挑戦していました。彼女たちの夢や目標の実現をサポートすることは本当に楽しくて。あのときは編集長としてでしたが、引退後、今度はもっと幅広く女の子のサポートができることをしてみたいなと思い立ったのがきっかけです。

スクール運営にはもともと興味があり、編集長時代に培った女の子を輝かせるというスキルも生かせると思ったので、あえて共学にはせず女の子の活躍に特化した場所にしようと構想を練りました。場所も自分のルーツになっている渋谷にこだわり、生徒が青春を謳歌(おうか)しながら、自分のやりたいことにとことん取り組めるリアルな場所をつくりたいということで、『渋谷から世界へ』をメッセージに、現在のようなシブジョ創設に至りました」

「渋谷から世界へ」を教育理念に掲げるシブジョには、それを実現するためのユニークなカリキュラムが多数用意されている。SNS、動画クリエイティブ、ファッション、メイク、さらには起業家講座、セルフプロデュース講座など、従来の普通科高校では目にすることのない授業がめじろ押しだ。これらのカリキュラムへの反響は赤荻氏自身が生徒にじかにヒアリングを行い、調整すべきところや要望があれば柔軟に対応しているという。

赤荻「それぞれの授業に反響はありますが、例えば『メイク』は生徒から役立つし楽しく学べるとの声が多い授業です。メイクは、高校までは学校内で禁じられるケースも多いのに、社会に出た途端に『社会人のマナーだ』なんて言われることも多いですよね。生徒がそういう状況に遭遇して戸惑うことを避けるためにも、また女の子はメイクすることが自信を持つきっかけになるとも思っているので、授業として取り入れています。

時間割 一例

それ以外にも外国語の授業にも力を入れています。当初は英会話のみでしたが、生徒から韓国語のカリキュラムも用意してほしいという声が多数上がり、すぐに追加しました。語学は基礎をしっかり勉強しつつ、大切にしてほしいのは実践なので、あえて授業名を英語ではなく『英会話』としています。英会話は、私自身もっとしっかりやっておけばよかったと感じていることの一つなんです。英語が話せれば世界中どこでも仕事ができるようになるので、そういう意味でも世界での活躍を掲げるシブジョにとって重要な科目と考えています」

講師群には、元eggで絶大な人気を誇った鈴木綺麗をはじめとした有名インフルエンサーが名を連ねているところも特徴的だ。これらの講師たちは赤荻氏自身が過去のキャリアで培った人脈からアサインしており、生徒からの反響が大きいことはもちろん、入校希望者のアイキャッチにもなっているという。

赤荻「実際に活躍している人たちから学ぶというのは信頼度も高いし、参考になると生徒からの評判もいいです。また、経営者としてのビジネス的な立場でいえば、そういった知名度のある方の授業を導入していることは入校希望者へのアピールポイントになりますし、他のスクールとの差別化を図れるポイントだとも考えています。例えば鈴木綺麗さんは編集長時代の縁もあって講師をお願いしているのですが、そういったこれまでのキャリアも生かしつつ、より魅力的なスクールとしてブラッシュアップするべく、現在は試行錯誤の段階です」

大切にしているのは“リアル”な経験。実生活で生かせるスキルの重要性

英会話の授業しかり、シブジョが一貫して大切にしているのは、“リアル”に生かせる学びやスキル・経験の獲得。実体験を踏まえた学びを生徒に与えるべく、インターンや数多くのイベント企画に挑戦させるのも他校とは異なるポイントだろう。例えばシブジョでは、東京ガールズコレクション(TGC)がプロデュースするTGC teenとインターン提携を結んでおり、SNS運用の企画・運営、メイクやヘアの現場研修、ファッションショーでのタレントアテンドや運営など、さまざまな実施研修を通じて仕事を学ぶ機会を提供している。また、月ごとに開催するというイベントも生徒主導で企画を行う。例えば入学式一つとっても、スケジュールの管理からタレントキャスティングやアサイン、演出コンテンツの検討や制作チームとの連携まで実際に生徒に任せるという。これらの背景には、赤荻氏が一貫して重要視している「実践」へのこだわりがある。

赤荻「私がさまざまなキャリアを積んできた根底には『とりあえずやってみる』というフィロソフィーが根付いています。今の時代は失敗したくない気持ちが先行して無難な方法を選んでしまったり、挑戦に尻込みしたりしてしまう子も多いように感じています。ただ、これまでの経験からすると、どんなことでもトライすれば案外なんとかなるものです(笑)。生徒たちには与えられるものをそのままのみ込むのではなく、主体的に考え、実際にやってみる。その上で自分なりの正解と失敗の体験を重ねていってほしい。そうしたトライアンドエラーを繰り返す中で、自分だけのスキルや力を身に付けてもらいたいなと思っています。そのための機会の創出は私たち大人がすべきことだと思いますし、全力でサポートしていくべきだと考えています」

「自分がナニモノか」自信を持って語れる女性を増やしたい

シブジョが掲げる生徒の目標地点は「世界活躍」。世界を標榜(ひょうぼう)するシブジョの校長として、赤荻氏が目指す夢や構想について伺った。

赤荻氏「シブジョを、『ナニモノかになる女の子を一番多くプロデュースできる場所』として日本一のスクールにしたいです。ファッションが好きならアパレルブランドプロデューサー、旅行や情報発信に興味があるなら、スマホ片手に世界中を自由に旅するトラベルインフルエンサー、自分の好きなことを実際にビジネスとして立ち上げてみるのであればJK起業家と、肩書に制限はありません。今の時代は自分次第で無限に職業や仕事、働き方を手に入れることができますよね。シブジョは、そういった自分の好きなこと・なりたい姿を『肩書』として自信を持って名乗れるように、サポートができる場所でありたいなと考えています。

ただ、“夢”をせっかくかなえてもお金が稼げなければ生きてはいけないので、やりたいことはさまざまな実体験を重ねる中で自分自身で見つけてもらい、それを“マネタイズする”“ビジネスとして成立させる”スキルは、シブジョの用意している授業でしっかり身に付けられるようにしたいと思っています。自分がナニモノであるかの肩書を自信を持って語ることができ、その仕事でしっかりと稼いで、活躍して生きていく。そんなスキルフルで魅力にあふれた強い女性を、世界一多く輩出できる場所を目指したいです」

現代では、働き方、働く場所をはじめ、職業のあり方や定義は無限といえる。これからの時代を生きる上では、個人としてのスキルや能力を獲得するための自己投資はますます欠かせない項目となるだろう。赤荻氏を見ても、編集長時代に培った経験や身につけたスキルを最大限生かして、現在の“校長”職にチャレンジしているともいえる。

シブジョで“リアル”な学びを得た卒業生たちが、どのような肩書きを名乗り、社会で活躍していくのか今後に注目したい。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001193.000013485.html(2024年3月 株式会社 学情 プレスリリース)