公正取引委員会は、楽天に対する独占禁止法違反(優越的地位の乱用)容疑の審査を終了すると発表した。

公正取引委員会は、楽天が、「楽天市場」に出店している出店事業者に対し、「共通の送料込みライン」を令和2年3月18日から一律に導入することを通知するなどしたことから、同年2月28日、東京地方裁判所に対し、楽天が「共通の送料込みライン」を一律に導入することの一時停止を求め,独占禁止法第70条の4第1項の規定に基づいて緊急停止命令の申立てを行っていた。

これまでの審査の結果、楽天が、令和元年7月以前から楽天市場に出店している出店事業者に対し,店舗を担当する営業担当者等により「共通の送料込みライン」に参加していない店舗(以下、不参加店舗)を不利にする取扱いを示唆するなどして、「共通の送料込みライン」に参加すること及び適用対象外申請を行わないことを余儀なくさせることにより、自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し若しくは変更し又は取引を実施している疑いのある事実が認められた。

今回、楽天から、下記の改善措置の申出がなされ、公正取引委員会において、その内容を検討したところ、上記の疑いを解消するものと認められたことから、今後、楽天が改善措置を実施したことを確認した上で本件審査を終了することを決定したとのことだ。

<楽天からの申出>

・下記(ア)ないし(ウ)の会社の方針を,営業担当者等に周知徹底するとともに,出店事業者に周知する。
(ア) 楽天は、「共通の送料込みライン」に参加すること及び不参加の状態に戻ることについて,出店事業者の意思を尊重し,独占禁止法に違反する行為を行わない。
(イ) 楽天は、不参加店舗を不利にする以下のような取扱いを行わず、出店事業者に示唆しない。
a 検索結果において、不参加店舗の取扱商品ゆえにその表示の順位を下げること、及び、不参加店舗の取扱商品が表示されない状態をデフォルトとすること。
b 不参加店舗の出店プランの変更を認めないこと。
c 不参加店舗の契約更新を認めず退店させること、及び、参加店舗を著しく優遇し不参加店舗の事業活動の継続を困難にさせること。
(ウ) 楽天は、「共通の送料込みライン」への参加を余儀なくされた店舗の適用対象外申請を制約する取扱いを行わず、出店事業者に示唆しない。

・上記ア(ア)ないし(ウ)の会社の方針に違反する働き掛け等を従業員に禁止することを、営業担当者等に周知徹底する。

・上記ア(ア)ないし(ウ)の会社の方針に違反する働き掛け等に対する処分規程を整備する。

・上記ア(ア)ないし(ウ)の会社の方針に違反する働き掛け等に係る苦情等の申出を、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律に基づき設置済みの苦情・紛争窓口において受け付けることを、出店事業者に周知する。同苦情等は管理部門が受け付け、営業部門等に対する調査・指導を行うとともに、申出者が不利益を受けないことを確保することも、出店事業者に周知する。

公正取引委員会は、今後、楽天が申し出た上記の改善措置を実施したことを確認した上で本件審査を終了することとしている。