フードデリバリーサービスが人気だ。もともと海外で広まったものだが、日本でも出前という文化が根付いていたが、「Uber Eats」が上陸し、「LINE デリマ」が2017にサービススタートするなど、この分野で話題のサービスが続々と登場している。

しかし物流業界では、ネット通販の急増によりドライバーの需要が拡大する一方で、人手不足や配送員の高齢化も進んでいるという。

こういった問題の解決の緒となれるような、ドライバーが同じ稼働時間で他の荷物を運ぶことを可能にするサービスが登場した。

フードデリバリー事業を展開するスターフェスティバルは、顧客向けにお弁当・ケータリングの配送を行うために稼働している軽貨物車両の空き時間・スペースを活用した荷物の配送・運送シェアリングサービス「スタロジ」を本格スタートした。

東京23区以内なら一律3,500円の格安配送費

スターフェスティバルは、フードデリバリーの総合インターネットモール「ごちクル」、デリバリー型社員食堂「シャショクル」などのフードデリバリーサービスを展開し、法人・団体のユーザー向けに月間約60万食の食事を届けているという。

こうした食事の配送のため、物流会社を中心とした「配送パートナー」と連携し、軽貨物車両を時間制で確保・稼働させている。

今回の「スタロジ」は、あらかじめチャーターした車両の未稼働時間、および、空きスペースを活用し、食材・衣類・イベント関連機材などありとあらゆる荷物を運ぶ、新しい物流シェアリングサービスだ。

観葉植物、生鮮食品、菓子類、クリーニング衣類、衣装ケース、プロジェクター&スクリーン、雑貨小物類(イベントでの販売用)などを対象としている。

デリバリーサービスを行うなかで創出されたスキマ時間・容積に新たな配送案件を差し込むことを軸としているため、ドライバーが同じ稼働時間でよりたくさんの荷物を運ぶことを可能としている。

増加する宅配需要に対して、安価で高品質なサービスを提供できるサービスだという。

まずは、マーケットサイズの大きい東京23区からサービス展開を開始し、今後、大阪・名古屋エリアへの拡大も視野に入れている。

最大の特徴は、複数の荷物を運ぶ場合にも、東京23区以内一律3,500円(税別)という格安な配送費だ。

お弁当・ケータリングを運ぶためにチャーターしている車に、別の荷物を同梱することにより、新たな荷物を運ぶ際の物流費を抑えている。

また、法人限定で、1時間~4時間のドライバーチャータープランを設けていることも特徴だ。

通常、1時間単位でのドライバーチャーターは難しいところが多い状況下、同社だからこそ実現できたプランだと自負しているという。さらに、ドライバーは独自の評価制度で管理している。

旅客用高速バスを利用した農産物配送サービスも

運送シェアリングのモデルとして旅客用高速バスを利用した取り組みがある。

全国農業協同組合中央会(JA 全中)、農林中央金庫、三菱地所、一般社団法人大丸有環境共生型まちづくり推進協会(エコッツェリア協会)の4者は、旅客用高速バスを利用した貨客混載の制度を活用して、各地の農産物の継続的な消費・購買につなげるサービスを8月よりスタートした。

このサービスは、この4者が2017年3月から取り組んでいる「大丸有フードイノベーション」の一環として実施するものだ。

サービスの流れとしては、貨客混載の制度を用い、複数のバス会社と連携し、地方部から東京への旅客用高速バスのトランクスペースに地方の新鮮な農産物を積み込む。

そして、東京都市部で乗客を降車させた後に、丸の内エリアに納品するという流れだ。

納品された農産物は丸の内エリアで、企業へ直接販売したり、社員食堂に食材を納品、開催されるイベントで販売するなどの3つのスタイルで販売している。

車両のスキマ時間を活用する「スタロジ」

「スタロジ」は、物流業界の人手不足や高齢化の問題を車両のスキマ時間を活用することで解消しようというもの。しかも、ドライバーの稼働時間は変わらないという。

物流業界だけではなく、さまざまな分野で人手不足や高齢化が問題となっている。今後もこのような新しい視点によるシェアリングサービスが登場してくるだろう。

img:PR TIMES