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テクノロジーの進化や少子化の進行などにより、子どもの教育のありかたは、一昔前と大きく変わってきている。
かつて授業というものは、1人の教師と多数の生徒の対面によるものが基本だった。しかしインターネットの進化で個対個での授業というスタイルが定着しそうな気配もある。
またそれに伴い、子どものほうも、スマホやモバイル機器を所持するのが普通になり、キャッシュレス化が進む現在、お小遣いを自分で管理する傾向が強いようだ。
e-ラーニングに関するサービスのさまざまなコンテンツを提供するイー・ラーニング研究所は、子どもの金融教育についての実態を調査するため、子どもがいる親を対象に「子どもの金融教育に関するアンケート」を実施し、その結果を発表した。
それによると、約半数の子どもが自身でお金の管理を行っていることがわかった。
キャッシュレス化の進化で子ども自身がお金を管理する時代に
イー・ラーニング研究所は、インターネットを利用した家庭向けe-ラーニングサービス『フォルスクラブ』、小中学生向け動画教育配信サービス『スクールTV』などのデジタルサービスに加え、小学生向け次世代型社会体験スクール『子ども未来キャリア』、“いしど式指導プログラム”を採用した『そろばん教室』などリアルスクールを展開しているという。
今回、イー・ラーニング研究所では20代~50代の子どもがいる親、男女計238人を対象に「子どもの金融教育に関するアンケート」を実施した。
まず、「子どもにお小遣いを渡していますか」という問いでは、「はい」が48%、「いいえ」が52%となり、子どもにお小遣いを渡している人と渡していない人は半数ずついることがわかった。
次に、「月額の子どものお小遣いはいくらですか」という問では、「1,001円~2,000円」(28)がもっとも多く、続いて「501円~1,000円」(22)、「2,001円~3,000円」(22)という回答が多かった。
また、お小遣いの金額が2,000円以下の子どもは、約半数いることがわかった。
そして、「子どものお小遣いの管理は誰が行っていますか」という問では、「子ども自身」(134)が最も多く、続いて「親」(102)となった。「子ども自身」「親」以外はほとんどおらず、「子ども自身」または「親」のどちらかが管理を行っていることがわかる結果となった。
「子ども自身が交通系ICカードなど現金以外でお金を使うことはありますか」という問では、「はい」が58%、「いいえ」が42%となり、約6割の子どもが交通系ICカードなど現金以外でお金を使っていることがわかった。
子どもの生活の中でもキャッシュレス化が進んでいることが考えられるという。
キャッシュレス化の進化は、子どもにも大きな影響を与えているようだ。カード1枚あれば、支払いや管理が簡単に行えるため、このような状況になっているとおもわれる。
また、親にしても、自分で管理させたほうが負担が少なくなり、キャッシュレス化は親、子ども両者にとってメリットのあるもののようだ。
しかしキャッシュレス化が不安の種にあることも
しかし、一方で「将来の子どものお金の使い方に不安を感じますか」という問では、「はい」が74%、「いいえ」が26%となり、約7割が将来の子どものお金の使い方に不安を感じていることがわかった。
同社では、前問で、子どもの生活の中でもキャッシュレス化が進んでいることもわかり、要因の一つであることも考えられるとしている。
キャッシュレス化は歓迎される一方で、簡単に管理が行えるがゆえの不安もあるようだ。
また、「子どもの金融教育は必要だと感じますか」という問いでは、「はい」が100%となり、全員が子どもの金融教育が必要だと感じていることがわかった。
「子どもの金融教育はいつから必要だと感じますか」という問では、第1位が「小学校1・2年」(86)、第2位が「小学校に入るまで」(64)、第3位が「小学校3・4年」(41)となった。小学校に入るタイミングから子どもの金融教育が必要だと感じている人が多いことが考えられるという。
また、約6割が小学校低学年までに、子どもの金融教育が必要だと感じていることもわかった。
子どもの金融教育の必要性については、どの世代の親も同じように考えていると思う。人間は、この時期にきちんとした金銭感覚を身に付けておくべきという考え方は、変わらないようだ。
米国ではパーソナルファイナンスが必修科目の高校が16.4%も
一方、海外の子どもの金融事情はどうなっているだろうか。米国では、金融リテラシーを高めるために、中学や高校でファイナンス教育を取り入れる動きが進んでいるという。
ウィスコンシン州の「Oconomowoc High School」では、2017年にパーソナルファイナンスの授業を全生徒に受講させると発表している。
この授業では、いずれも近い将来に生徒たちが必要になる知識であるクレジットカードの使い方や借地・借家契約書の読み方、投資、学生ローンの返済方法などを扱うという。
このカリキュラムの監修を行なうJohn Flannery氏は「子どもたちには将来起こりうるシナリオに備え、知識やスキルを身につけてほしい」と必修化の目的を語っている。
また、現在、米国内でパーソナルファイナンスを必修科目に定める高校は16.4%もある。そして、5つの州で同科目が全ての高校の卒業必修単位に含まれているという。
子どもには正しい金融リテラシ―を
筆者は小学生の低学年からお小遣いをもらうようになったと記憶している。しかし、中学生のころまでは必要な時にその都度もらっていただけで、お年玉もそのまま親に預け、貯金に回していたものだ。つまり、子どものころは自分でお金の管理した記憶がないのだ。
これは、筆者だけがそうだったのかもしれないが、当時は今よりはるかに子どもの金融リテラシーは低かったのだろう。
今回の調査では、キャッシュレス化が子どもの金融リテラシーを高めていることがわかった。ただ、一方で、親にはこの状況を不安に思う傾向もあるようで、正しい金融リテラシーを身に付けることが望まれる。
img:PR TIMES