中古車事業Gulliver(ガリバー)を運営するIDOMは、展開しているアフリカ事業をスピンオフし、新会社となるFMGを設立したと発表した。

また、創業期からスタートアップへの投資・成長支援を行なうサムライインキュベートは、子会社のサムライインキュベートアフリカが運営する「Samurai Africa Fund 2号投資事業組合」より、FMGへの出資・成長支援を決定し、代表取締役の榊原健太郎はFMGの社外取締役に就任するとのことだ。

IDOMは、国内最大規模の車両流通データが行き交う立ち位置で得たノウハウやアセットを活かしながら、新たな価値をもたらすインキュベーションに力を入れている。

IDOMが展開しているアフリカ事業は、2017年よりアフリカ現地での調査を開始。クルマの流通構造や金融サービス等の検証を行いながら、新たな中古車流通の形を模索しており、こうした取り組みを進める中、より柔軟かつスピーディーな事業運営を図ることを目的に、同事業をIDOMからスピンオフすると同時に、サムライインキュベートからの出資を受けたという。

また、IDOMは、新規事業の創出に至る取り組みを強化しながらも、より高い事業成長を図ることを目的に、独立した事業展開を推進。

今回スピンオフしたFMGは、IDOMで得た流通ノウハウやリソースを強みに、アフリカ諸国における流通構造の変革を通じた新たなビジネスモデルの構築およびサービス改善・拡張を進めていくとしている。

また、サムライインキュベートは、FMGへ資金の提供とともに”ハンズイン”型の成長支援として財務・広報・採用面でのサポートを実施。

今後、FMGは、同じ志を抱く様々なプレイヤーと共に資本参加を含むパートナーシップを構築することで、同事業のスケール化を加速させ、SDGs(持続可能な開発目標)に基づく社会課題解決に寄与する事業として、現地経済の活性化に貢献していくとのことだ。

また現在、アフリカ諸国において、車は家よりも価値が高く“人生最大の買い物”と言っても過言ではない。そうした中でも、「少しでも豊かになりたい」という夢を持ちながら、配車サービス等のドライバーとして生計を立てる人が増加傾向にあるという。

車があれば、より多くの仕事を得られる一方で、アフリカでは銀行口座を持たない人が大半のため、与信を得ることができず、車を購入できない人がいるのも事実であり、現在の車の二次流通では、アフリカの人々に中古車が届くまでに介在するプレイヤーが多い構造となっているとのことだ。

そのため、車を購入する人々が安心して日本の中古車を手にできない状況も発生しており、こうした背景がありながらも、これまで現地において、組織的に解決する企業が存在しないことも課題となっているという。

FMGが展開する事業内容は、配車サービス企業や銀行と連携をしながら、IDOMが推奨車両を決定・提供するこれまで展開してきたスキームに加え、ドライバーを組織化し、ドライバーへ直接中古車を貸与すると同時にファイナンスも行うという。

FMGと配車サービス企業は、顧客属性、支払履歴、保証人、走行履歴等これまで可視化されていなかった良質な働き手の信用情報データを蓄積・共有連携し、FMGから配車サービス企業へ車両とドライバーをセットにして提供する。

これにより、与信を取ることができなかった人々も車を入手して配車サービスで仕事をすることができるようになるとし、FMGが良質な中古車を直接的に日本からアフリカへ輸出することで、構造をシンプルにすることができるため、相対的に割安な価格かつ、ドライバーが安心して日本の中古車を手に入れることができるようになるとのことだ。