ソフトバンクは、デジタルツインを活用したIPネットワークの運用自動化システムを開発し、全国のメトロネットワークで運用を開始したことを発表した。

同システムでは、ネットワーク機器の微細な変化を把握してサービスへの影響の前兆(予兆)を捉える「予兆検知基盤」と、障害発生時に迂回可否を自動で判断する「迂回可否自動判定システム」を組み合わせることで、ネットワーク運用のゼロタッチ化を実現。
「予兆検知基盤」では、Telemetry(テレメトリー)を活用することで、機器の機能有無に依存せず多様なネットワーク機器を対象に、機器の状態や通信統計データなどを従来の約5倍の頻度で取得でき、より迅速かつ詳細な把握が可能になったという。
取得したデータに対して柔軟な分析やアラート化を行うことで、サービス影響の前兆となる傾向変化を早期に検知し、ネットワークのさらなる高信頼化に貢献するとしている。

また、「迂回可否自動判定システム」では、機器や関連システムから取得した設定情報やステータス情報、作業情報、アラーム情報をほぼリアルタイムに収集し、ネットワークの構成変化に特化したデジタルツイン上で状況を分析。
これにより、実際の状態に基づいた自動判定を実現し、サービス復旧までの時間を大幅に短縮。また、監視工数の削減や個人のスキルに依存しない安定的な運用体制の構築にも寄与しているという。

なお、同システムを導入したソフトバンクのメトロネットワークの運用が、通信業界を中心とした国際的な業界団体であるTM Forumが定める「Autonomous Networks(自律型ネットワーク)」の「IP Fault Management」シナリオにおいて、レベル3(条件付き自律)の認定を取得。
この認定は、同システムを導入したソフトバンクの運用が、世界的にも高水準の自律運用を実現していることを示しているという。
ソフトバンクは今後、生成AIなどの最新技術も取り入れながら、運用のさらなる高度化を進め、「Autonomous Networks」のレベル4(高度自律運用)相当の運用を目指すとしている。
また、コアネットワークなど他のネットワーク領域にも同システムを展開し、迅速で安全な自律運用を実現するとともに、サービスのさらなる安定化と品質向上に継続して取り組んでいくとのことだ。
