DIGITALIOが運営する法人向けデジタルギフトサービス「デジコ」は、全国の20代〜70代の男女(計720名)を対象に「自治体DXに関する調査」を実施し、結果を公表した。

本調査では、住民が給付金受け取りに求めるリアルなニーズを世代別に解明し、自治体DXにおけるデジタルシフトの可能性を探ります。

■住民が行政に感じる従来の手続き上の負担

●行政手続きの「面倒なイメージ」

まず、「行政手続き(給付金・補助金など)」と聞いて、最初に思い浮かべる面倒なイメージはどれかを聞いたところ、最も多く挙がったのは「役所の窓口に行く必要がある」で全体の42.5%、次いで「手続きが複雑で分かりにくい」(38.8%)、「書類への記入・押印が多い」(37.1%)が続く。

住民にとって「窓口に行く」という物理的な負担と、手続きの煩雑さが最大の課題であることが判明。

世代別では、60代のうち51.3%、70代のうち43.9%と、シニア層において「窓口に行く必要がある」という物理的な負担を最も強く認識していることが明確に。

この結果は、「窓口での手続き」が世代を超えた共通の課題である一方で、シニア層にとって特に深刻な障壁となっていることを示していると同社は考察している。

行政手続きの「面倒なイメージ」

●給付金受け取り時の手間

過去に給付金を受け取る際、銀行口座情報の入力や確認の手続きを手間だと感じるか聞いたところ、約6割(58.2%)の住民が銀行口座情報の入力や確認手続きを「手間だと感じている」と回答。

口座情報の登録が不要なデジタル給付サービスが、住民と自治体双方の負担を軽減する可能性を示唆する結果となった。

給付金受け取り時の手間

●給付金や還元施策に関する具体的な「不満点」

住民向けの給付金や還元施策などについて、不満に思うことについて聞いたところ、最も多く挙がった不満は「受け取る手続きが面倒くさい」で34.6%。次いで「特に不満はない」(28.7%)、「受け取るまでに時間がかかる」(26.1%)が続く。

この結果から、住民は給付金に対し、「手軽さ」と「迅速性」という二つの大きなニーズを持っていることがわかった。

給付金や還元施策に関する具体的な「不満点」

■給付金に求める「スピード」と「利便性」

●給付金に求められる「スピード」の重要性

緊急性の高い給付金について、受け取りまでのスピードの重要度について聞いたところ、「非常に重要」(36.3%)と「ある程度重要」(42.9%)を合わせ、約8割(79.2%)の住民が、スピードを重視していると回答。

この結果に同社は、自治体DX推進において、給付の「迅速性」が最優先で取り組むべき住民ニーズであることを示しているとし、昨今では物価高対策などの緊急性の高い施策も多いことから、給付の迅速性の確保は、今後ますます重要になると考察している。

給付金に求められる「スピード」の重要性

●最も便利な給付金の「受け取り方法」

行政からの給付金・補助金の受け取り方として、最も便利だと感じるものについて聞いたところ、全体では「銀行振込」(53.1%)が最も多い回答だったが、「オンラインでの申請・受け取り」も4割近く(36.8%)の支持を集める結果に。

これは、全世代を通じた利便性という観点から、デジタル受給が銀行振込に大きく劣らない、有力な選択肢として広く認識されていることを示していると同社は考察。

また、世代別で見ると、20代と30代では、「オンラインでの申請・受け取り」が「銀行振込」とほぼ同等の割合で最も便利だと回答されており、若年層のデジタル受給への高いニーズが明確となった。

最も便利な給付金の「受け取り方法」

■デジタル給付の課題と解決策

●デジタル給付の基盤となる「スマートフォン所有率」

自身のスマートフォンを持っているかについて聞いたところ、全体のスマートフォン所有率は88.8%となった。

デジタルギフトサービスなどを活用したオンラインでの給付は、利便性の観点からスマートフォンでの受け取りが想定されるが、この高い普及率から、利用基盤は既に全世代で十分に整っていることが確認できたと同社は考察。

また、世代別では、70代でも約8割がスマートフォンを所有していることが判明。デジタル施策において「高齢者層はスマートフォンを持っていないのでは」という一般的な懸念を払拭する結果となり、デジタル給付の裾野が広がっていることが示唆された。

デジタル給付の基盤となる「スマートフォン所有率」

●デジタル受け取りに対する世代別不安

デジタルで給付金やポイントを受け取る際、どのような点に不安を感じるかについて聞いたところ、最も多かったのは「特に不安はない」で、全体の41.3%。さらに、20代・30代では約6割が「特に不安はない」と回答するなど、若年層でデジタルへの抵抗が極めて低いという実態が裏づけとなった。

一方で、70代の主な不安要因としては3割近くが「使い方がわからない」「個人情報を入力するのが不安」と回答しており、これらを解消する仕組み作りの重要性が示される結果に。

デジタル受け取りに対する世代別不安

●不安を感じた場合の「サポートニーズ」

近年、行政からの給付・還元において、交換先を自由に選べるデジタルギフトが新たな手段として活用される事例が増加。

このデジタルギフトの受け取りで不安を感じた場合、どのようなサポートがあれば安心して使えそうかについて聞いたところ、「特に不安はない」(44.7%)が多い一方で、具体的なサポートニーズとしては「図解入りのわかりやすいマニュアル」(31.1%)と「電話での問い合わせ窓口」(19.2%)に集中。

この結果に同社は、デジタル給付の導入には、従来の手段による安心できるサポートを組み合わせた体制が求められていることがわかったとしている。

不安を感じた場合の「サポートニーズ」

<参考>
デジコ(DIGITALIO)『自治体DXに関する調査