ブルーボトルコーヒーは、2024年1月から12月までの1年間でカーボンニュートラルを達成したと発表した。2018年を基準年として温室効果ガス(GHG)の排出原単位を18%削減し、残存する排出量を高品質なカーボン除去クレジットの購入によって相殺したという。

同社は、この成果を気候変動対策における重要なマイルストーンと位置づけており、今後はコーヒーのバリューチェーン全体で環境再生型農業(リジェネラティブ農業)の拡大を進め、原産地でのイノベーションを推進する方針としている。

ブルーボトルコーヒーによると、カーボンニュートラル達成は複数年にわたる取り組みの結果だという。生豆の調達改善により主要排出源である「グリーンコーヒー」部門の排出原単位を20%削減。カフェにおける乳製品の利用では、植物性ミルクを追加料金なしで導入したことで牛乳由来の排出量を16%削減した。さらに、再生可能エネルギーの活用により電力使用による排出を66%削減し、リモートワーク導入による通勤関連の排出も8%削減したとのことだ。

また、廃棄物分野ではコンポスト化やリサイクルの推進によって、2024年には実質的に排出をゼロ以下に抑えたという。

同社は今後、環境再生型農業の拡大を軸に、気候変動に適応した新たなコーヒー品種へのアクセス向上や、アラビカ種以外の品種の活用促進など、より持続可能なコーヒー供給体制の構築を目指すとしている。

具体的な取り組みとしては、サステナビリティ分野の専門家および主要サプライヤー4社と連携し、地域ごとの特性に応じたリジェネラティブ農業への移行計画を策定。初のプロジェクトを2026年にペルー南部で開始する予定とのことだ。この計画では、土壌の健全性回復と炭素隔離能力の向上に加え、生産者の生活賃金の実現も目指しているという。

さらに同社は、World Coffee Research(WCR)が推進するF1ハイブリッド・プログラムの試験農園スポンサーとして、気候適応性と生産性を両立した次世代品種の開発支援を行っている。2025年には、リベリカやロブスタなどアラビカ以外の品種に焦点を当てた「Blue Bottle Studio」アジアツアーを実施し、多様なコーヒーの可能性を広げていくとしている。