帝国データバンクは、全国2万6,162社を対象に「外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査」を実施し、結果を公表した。

なお、「外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査」は前回2024年2月に実施し、今回で2回目となっている。

■外国人を雇用している企業は24.7%。個人向けサービス業で採用拡大の傾向

外国人の雇用・採用について尋ねたところ、現在「雇用している」企業は24.7%となり、前回調査(2024年2月)から1.0ポイント増加。一方で、現在「雇用していない」企業は58.1%(前回比1.1ポイント減)となり、現在「雇用していない」の低下分が現在「雇用している」の上昇分にシフトする結果となった。

また、今後の採用に関しては、現在外国人を雇用しており、かつ採用を増やす意向の企業は前回調査から1.4ポイント低下し、3.1%にとどまった。また、現在雇用していないが、今後新たに採用する企業は11.2%(前回比1.0ポイント減)という結果に。

両者の合計14.3%(同2.4ポイント減)の企業が外国人労働者を採用開始・拡大する意向があることが分かった。

外国人労働者の雇用・採用動向

業種別の外国人労働者の採用の拡大については、「人材派遣・紹介」が36.6%(同2.8ポイント増)でトップとなり、次いで「各種商品小売」(29.5%、同7.8ポイント増)、「飲食店」(28.2%、同15.8ポイント減)が続く。

上位10業種では、サービス業や小売業を中心とした個人向けサービス業が多くを占めている。

また、前回調査と比較すると、51業種中16業種で外国人労働者の採用拡大の割合が上昇し、35業種が低下。なお、これら上位10業種のうち、「飲食店」「運輸・倉庫」「農・林・水産」「パルプ・紙・紙加工品製造」「メンテナンス・警備・検査」の5業種が特定技能の分野に指定されている。

外国人労働者の採用を拡大する割合

■外国人雇用の課題、「教育・コミュニケーション」が突出するも具体的な解決策に欠ける

外国人労働者を雇用する際の課題について尋ねたところ、「スキルや語学などの教育」(55.8%、前回比0.7ポイント増)と「コミュニケーション」(55.7%、同0.7ポイント増)が50%を上回り、前回調査に引き続き突出して高かった。

企業からは、「現在、技術者候補の方に従事してもらっているが、語学面に関しては会社側だけでなく、本人も苦労している部分が大きい」(専門サービス、三重県)のように、具体的な解決策を講じられず、労使ともに苦労しているといった声が多く聞かれたという。

外国人労働者を雇用する際の課題

また、「宗教による生活様式などの違いへの配慮」は24.3%であり、およそ4社に1社が課題を抱えている結果に。実際、「過去に雇用したこともあるが、文化の違いから既存社員と融和できなかった。連絡なしでの欠勤やすぐに辞めてしまうなどの問題もあった」(建設、愛知県)などの声も多かったとのことだ。

<参考>
帝国データバンク『外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査