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KDDI株式会社は、全国の20代~60代の男女500人を対象に「ゆる登山とスマホに関する調査」を実施し、結果を公表した。
なお同資料では、縦走や宿泊を伴わず、重装備を必要とせずに気軽に登山やハイキングを楽しむことを「ゆる登山」と定義している。

■ゆる登山勢の楽しみ方トレンド
●登山人口は増加傾向、登山やハイキングを気軽に楽しむ“ゆる登山勢”が約8割を占める
日本は国土の約4分の3が山地や丘陵地。公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書」によると、登山の参加人口は、新型コロナウイルス感染拡大で落ち込みを見せたものの、2022年以降は再び増加傾向になっているという。

同調査を実施するに当たり、年1回以上、登山やハイキングに行く人に、その志向を尋ねたところ「気軽に自然の中で過ごすことを楽しみたいゆる登山勢)」が約8割(77.2%)であったのに対し、「装備やルートにこだわり、目標達成や挑戦を重視するガチ登山勢)」と回答した人は、約2割(22.8%)にとどまった。

この結果から同社は、登山やハイキングを楽しむ人はゆる登山勢が多くを占めることが明らかになったとしている。
●ゆる登山のトレンドは、40代以上は自然との親しみ、若い世代は“映え”も気にする傾向に
以下は、年1回以上~月2回未満登山・ハイキングに行き、楽しみ方として「気軽に自然の中で過ごすことを楽しむ」ことを志向する人を「ゆる登山を志向する人」として、500人(以下、ゆる登山勢)へ調査を実施。
今年の夏にやりたい登山や山旅のイメージを尋ねたところ、全体では「滝や川で自然を感じる山旅」(53.8%)、「絶景を楽しめる山旅」(45.4%)が上位に。
この結果を年代別で見ると、「滝や川で自然を感じる山旅」と回答した割合は40代以上で高く、また、60代は「季節の花や植物観察ができる山旅」も突出して高い結果に。一方、20代・30代の若い世代で見ると、「写真や動画を映え目的で楽しめる山旅」が他の年代と比較して高い結果となった。
これらの結果から同社は、年齢を重ねるほど自然と親しむ登山・山旅を好み、若い世代は、映えも楽しむ傾向が明らかになったとしている。

■ゆる登山のスマホニーズと実態(1)
●ゆる登山に欠かせないスマホ、全ての年代で約9割が「スマホは重要」と回答
ゆる登山勢に、登山やハイキングにおけるスマホの重要性を尋ねたところ、「欠かせないほど重要である」と回答した人は、2割以上(21.0%)にも及び、「重要である」「やや重要である」と回答した人と合わせると、約9割(89.0%)が「スマホは重要」と回答。
この結果を年代別で見ると、全ての年代が約9割であったことから、あらゆる年代にとって登山やハイキングにスマホが欠かせないアイテムであることがわかった。

●登山やハイキングで「常にスマホを利用している」割合がトップスコアに
実際、どのようなタイミングでスマホを利用しているかを尋ねたところ、「常に利用している」(39.0%が)トップスコアに。年代別で見ても全ての年代が35%を超え、年齢的に大きな差は見られなかった。
また、「休憩時」(37.0%)や「山までの移動時」(35.6%)も4割近くとなり、山旅のあらゆるシーンでスマホが利用されていることが明らかに。

■ゆる登山のスマホニーズと実態(2)
●ゆる登山であらゆる“確認”に活用されるスマホ、若い世代は“共有重視”の傾向も
登山やハイキングでスマホを利用していると回答した人に、どのような目的でスマホを利用しているかを尋ねてみたところ、全体で最も高かったのは「天気・気温・雨雲情報を確認」(54.2%)、次いで「地図アプリやルートを確認」(47.5%)、「交通機関の時刻表の確認」(35.3%)と続く。
年代別で見ると、50代・60代では、全体平均の上位2項目のほか、「花や植物の名前を調べる」などで全体平均を上回っている。
一方、20代・30代は、「山ごはんレシピなどを調べる」が平均を約10ポイント上回ったほか、20代は、「自分のいる場所を家族に伝える」や「行動ログを記録・シェア」が平均を5ポイント以上上回り、30代では「SNSにリアルタイムで投稿」「写真・動画をリアルタイムで人に送る」が約10ポイント上回った。

●しかし、3割以上が登山前に通信環境をチェックせず!50代以降は4割以上の結果に
世代を問わず、ゆる登山に欠かすことができないスマホだが、登山前に通信環境を「必ず調べる」と回答した人は、4人に1人(24.8%)という結果に。「たまに調べる」と回答した人と合わせても7割以下(68.2%)にとどまり、3割以上(31.8%)が通信環境を「調べない」(「ほとんど調べない」「全く調べない」計と回答。
回答結果を年代別で見ると、20代・30代は「調べる」(「必ず調べる」「たまに調べる」計と回答した割合が高く、40代以降で急激に回答割合が減少、50代以降は4割以上が「調べない」という結果になった。

■通信圏外によるがっかり&困った経験
●9割以上が圏外を経験、不便を感じた人は8割以上。楽しさや満足感の低下にも
山間部では、携帯電話の基地局を設置できる場所が限られていたり、周辺に電気が通っていないことなどの理由から基地局の設置が難しく携帯電話が通信圏外になることがあるという。
また、電波は樹木にぶつかると弱まるため、周囲を高い木々や山に遮られた登山道では電波がつながりにくくなることがあるとのことだ。
ゆる登山勢に、これまで登山やハイキング中に「スマホの電波がつながらなかった経験があるか」を尋ねたところ、9割以上(91.1%)が「ある」(「よくある」「ときどきある」「たまにある」計」と回答。経験した人のうち、8割以上(85.4%)の人がなんらかの不便や困った思いをしている結果に。

具体的には、「地図アプリやルートが見られなかった」や「天気・気温・雨雲情報が見られなかった」が上位に挙がり、自由回答からは、時間のロスや心理的不安を感じた声も聞かれたほか、山の景色を家族や友人とリアルタイムで共有できず、今の感動を届けられない悔しい声も上がっている。

また、「スマホが通信できず登山やハイキングの楽しさや満足感が下がった(「よくある」「ときどきある」「たまにある」計」と回答した人も、約7割(68.9%)に及んだことから、スマホの通信環境が、登山やハイキングの満足度と大きく関係していることが明らかに。
■通信圏外によるヒヤリハット経験
●ゆる登山でも油断は禁物、約3割がスマホの電波がつながらず、ヒヤリハットを経験
低い山だからといって、遭難リスクが少ないとは言えないという。警察庁が2025年6月に発表した「山岳遭難の統計」によると、2024年には東京都八王子市の高尾山で131人が遭難。この数字は、富士山の83人や3000メートル級の山が連なる北アルプス・穂高連峰の66人より多い数字となっている。
ゆる登山勢に、過去の登山・ハイキング中にスマホの電波がつながらなかったことでヒヤリとした経験があるかを尋ねたところ、約3割(28.0%)の人が「経験がある」と回答。
その具体的な内容について尋ねると、「スマホが圏外で、現在地や地図を確認できなかった」(37.1%)がトップスコアになったほか、天気の情報や登山ルートの不安や道の間違えなどが上位に。

自由回答からは「登山ルートが確認できず遭難しかけた」など生死に関わるような体験や「子どもの姿が急に見えなくなり焦った」など、数々のヒヤリとする体験が挙がる結果となった。

なお、KDDI、沖縄セルラーは、2025年4月10日より衛星とスマホの直接通信サービス「auStarlinkDirect」の提供を開始。
「auStarlinkDirect」は、既存のau周波数を活用して、スマホが直接通信対応のStarlink衛星とつながり、空が見える状況であれば圏外エリアでも通信できるサービスとなっている。
普段利用している通信事業者がつながらない場合でも、「auStarlinkDirect」であればテキストメッセージや画像・動画のやりとり、現在地の位置情報共有などが可能なほか、災害時に緊急速報メールを受信が可能とのことだ。

【調査概要】
実施時期:2025年7月24日木7月25日
調査手法:クロス・マーケティングQiQUMOを利用した調査
調査対象:20代~60代のゆる登山を志向する男女500人各性年代50人
(ゆる登山層抽出のためのスクリーニング調査対象は28604人、うち年1回以上登山・ハイキングを行う人は4584人)
※構成比は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100にならない場合あり。
<参考>
KDDI「ゆる登山とスマホに関する調査」