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日本法人であるIndeed Japan(以下、Indeed)は、仕事を探す際に求職者が検索する時給(検索時給)の動向について、2025年4月時点でのデータを分析し、結果を公表した。
■検索時給は平均1,539円。6年間で22.3%、昨年からは2.1%上昇
2025年4月にIndeed上で検索された時給(検索時給)の平均値は1,539円で、2019年4月の1,258円から6年間で22.3%(281円)、昨年4月の1,507円から2.1%(32円)上昇している結果に。
労働市場における人手不足や継続的な物価高も背景に賃上げ機運が高まっており、実際、2025年5月時点のパート従業員の賃上げ額(時給)は68円(前年比5.9%)となっており、同結果からも求職者はより高い賃金を求めていることがわかる。
2030年代半ばまでに最低賃金を1,500円に引き上げることを目標に掲げていた政府は、さらに予定を前倒しにして2020年代の実現を目指すとしているが、検索時給の平均値が1,539円に達していることから、既に求職者の希望時給額はその水準を超えているとのことだ。

■最低賃金と検索時給の差は484円で、昨年より19円分縮まっている
国が定める最低賃金は、2025年4月時点で全国加重平均額1,055円となり、検索時給の平均値1,539円との差は484円。
2024年度の最低賃金の平均引き上げ額は過去最高の51円で、前年の全国平均1,004円から5.1%上昇。検索時給の上昇額は32円(2.1%上昇)だったことから、最低賃金と求職者の希望時給額を示唆する検索時給の差は、昨年の503円よりも19円分縮まっている。
■検索時給は昨年同様三大都市圏が高い。検索時給の上昇額は、昨年から順位に大きく変動があるものの地方圏で大きい傾向は変わらず
希望する時給水準についての地域的な特徴を明らかにするために、勤務地として検索されている都道府県別に、検索時給の平均額を比較。
2025年(1月〜4月)の検索時給平均額を見ると、高い順に東京都(1,644円)、大阪府(1,599円)、北海道(1,589円)、神奈川県(1,583円)、千葉県(1,542円)という結果となった。
上位4位までは昨年と同様の結果となっており、2024年(1月〜4月)において6位だった千葉県が、今年は5位。
昨年も今年も、検索時給の上位は三大都市圏が中心となっているが、これは三大都市圏では、生活費の高さや企業間の人材獲得競争がより激しいことによって賃金水準が高まり、連動して高賃金を得ることを求職者が期待するためであると同社は考察している。

続いて、検索時給平均額の上昇額を調査。2024年(1月〜12月)と2025年(1月〜4月)の検索時給平均額を比べ、前年からの上昇額を都道府県別に比較した結果、上昇額が大きい順に青森県(+154円)、長野県(+148円)、鳥取県(+134円)、大分県(+114円)、岩手県(+113円)となった。
最低賃金の上昇額51円を上回っていたのは、14県に上る結果に。昨年の上昇額上位の顔ぶれとは入れ替わっているが、今年も昨年と同様に地方圏が上位という結果となっている。

■最低賃金と検索時給の差額が最も大きいのは北海道。半導体産業活性化の影響か
続いて、最低賃金と検索時給の差額を調査。その結果、差が大きい順に北海道(579円)、熊本県(576円)、山口県(524円)、大分県(512円)、沖縄県(504円)となった。また、全国平均の最低賃金と検索時給の差である484円を上回っているのは6道府県となっている。
差額が最も大きかった北海道と次に大きかった熊本県は、昨年からさらに差額が拡大(北海道は昨年4位で534円、熊本県は昨年3位で542円)。
北海道では半導体メーカーの半導体製造工場建設が進んでおり、熊本県では半導体製造工場建設が完了し、量産のフェーズに入り、半導体関連の物流需要への対応を目的に物流施設の建設も進むなど、新たな産業活性化の勢いがさらに増加。
最低賃金と差が開いている一因として、雇用への期待の高まりから、北海道や熊本県では高い時給への関心を牽引している可能性があると同社は考察している。

【調査概要】
調査・分析主体:Indeed Japan
調査・分析対象期間:2019年1月〜2025年4月
調査・分析方法:検索時給の加重平均値の算定方法
10円刻みの値を賃金帯として、賃金帯ごとに検索数および賃金検索数全体に占めるシェアを計算。各賃金帯と上記シェアの掛け合わせで算出。
※同分析では、日本で、Indeed上で検索された賃金に関連するキーワードのうち、時間給のみの検索を分析対象としており、月給や年収の検索は分析対象外。
<参考>
Indeed Japan『仕事を探す際に求職者が検索する時給(検索時給)の動向(2025年4月時点)』