ダイキンは、夏の暑さが人々の健康的な暮らしに与える影響を探る「夏場の熱による体調不良に関する全国調査」を実施し、結果を公表した。

1.2024年夏、「熱あたり」 の症状を経験した人は64.6%

今回、熱中症と診断されるような症状から軽い不調までを含めた「熱あたり」の症状を感じた経験がある人を調査したところ、2024年の7月から8月の間に、全国20歳以上男女のうち、おおよそ3人に2人にあたる64.6%が「熱あたり」の状態を経験した可能性があることが明らかになった。

「熱あたり」の症状を感じた人のうち、最も多くを占めたのは「熱中症に該当するような自覚症状があったが病院には行かなかった人」で、次いで多かったのが「日頃のパフォーマンス低下につながるような軽い不調を感じている人」という結果に。

病院に行って熱中症と診断された人はごく少数で、同社は医療機関での診断などを通じて従来から明らかにされてきた熱中症患者の規模は、「熱あたり」のうちの「氷山の一角」であることがうかがえるとしている。                                   

「熱あたり」の症状を感じた人の割合・「熱辺り」経験者の内訳

2.「熱あたり」 は世代を超えた夏の共通課題

一般的に高齢者は熱中症になりやすいと言われているが、「熱」による身体的な不調全般を「熱あたり」として捉えなおした場合でも同様なのかを調査。その結果、世代による大きな差は見られなかった。

「熱あたり」症状経験者は全世代で6割を超えており、この結果に同社は、「熱あたり」は老いも若きも世代を超えた夏の共通課題と言えそうだとしている。

夏に「熱あたり」の症状を感じた人の年代別の割合

3.「熱あたり」 症状のTOP3は「睡眠の質の低下」、「疲れがとれない」、「倦怠感」

「熱あたり」症状経験者が感じた体の不調を調査したところ、最も多かったのは「睡眠の質の低下」(51.4%)。次いで「疲れがとれない」(46.0%)、「倦怠感」(30.8%)が続く。

寝た気がしなかったり疲れが取れなかったりするのは軽い「熱あたり」症状で、体が熱を逃がし続けることによる自律神経の疲労などで起こると言われているという。

熱中症と診断されるほどではないが、仕事や勉強、スポーツなどのパフォーマンス低下につながります。また、最初は軽い症状でも、そのままにしていると症状が進行してしまうこともあるとのことだ。

「熱あたり」症状経験者が感じた体の不調

4.「熱あたり」症状経験者の6割以上が自身のパフォーマンス低下を実感

「熱あたり」の症状は、熱中症に該当するようなものから、「寝た気がしない」「疲れが取れない」「食欲がわかない」といった比較的軽いものまで様々。

こうした症状は、身体的なつらさはもちろんですが、日頃のパフォーマンス低下にもつながるという。

同調査では、病院で熱中症と診断された人を除いた「熱あたり」症状経験者が、どの程度のパフォーマンス低下を感じたかを調査。

その結果、「そこそこ低下した」と感じた人が約半数(48.6%)を占め、2割弱の人は「かなり低下した」(14.2%)や「大幅に低下した」(3.8%)と感じていたことがわかった。

熱中症と診断された人を除いた「熱あたり」症状経験者が感じたパフォーマンス低下の度合い

5.体の熱を逃がしやすい体をつくる「暑熱順化」の認知率は約3割

「熱あたり」対策には体の熱を逃がしやすくすることが大切で、できるだけ涼しい環境で過ごすことはもちろん、暑くなる前の1~2週間ほど、ウォーキングやジョギング、筋トレやストレッチ、入浴などを継続して汗をかきやすい体をつくる「暑熱順化」に取り組むことも効果的だという。

「暑熱順化」の認知率を調べたところ、今回の調査では「意味までよく知っている」は1割以下(7.7%)で、「聞いたことがあるが詳しくは知らない」まで含めても約3割(31.1%)に留まり、あまり認知されていないことがうかがえる結果に。

同社は、夏を迎える前の準備として、涼しい環境をつくるためにエアコンが使えることを確認する「エアコンの試運転」が大切だが、自身の体も汗をかけるように準備しておくことが大切だとしている。   

「暑熱順化」の認知率

6.「熱あたり」症状経験者の割合に、最も高い県と最も低い県で大差なし

今回の調査で得られた回答をもとに、「熱あたり」症状経験者の割合を全国47都道府県ごとに算出。

最も割合が高かったのは大分県で、次に福島県と広島県が同率で続く結果に。なお、最も割合が低かったのは、同率で青森県、静岡県、滋賀県となった。

一方、各都道府県の「熱あたり」症状経験者の割合の差に着目すると、最も高い県(71.0%)と最も低い県(60.3%)の差は10.7pt。どの都道府県でも60%を超え、それぞれが僅差という状況に。

全国47都道府県「熱あたり」症状経験率

こうした結果から、「熱あたり」に大きな地域差はなく、自身も意識すべき熱の問題と捉えた方がよいと同社は考察している。 

【調査概要】

<参考>
ダイキン『夏場の熱による体調不良に関する全国調査