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LIXILは、全国の20~50代の男女4,700人を対象に冬(主に11月~2月)における窓の結露と住宅の断熱に関する意識調査を実施し、結果を公表した。
■「窓の結露」に悩む人は冬の「光熱費上昇」やヒートショックリスクの高い「浴室の寒さ」にも悩みあり。また、築20年以上の家はこうした悩みを抱える人が急増する傾向に。
「冬(主に11月~2月)、普段生活している自宅の窓で結露を経験したことはあるか。」という設問に、70.5%の人が「経験がある」と回答。
また、窓の結露経験者の「冬の自宅での生活に関する悩み」で最も多かった回答は「光熱費が高い(43.7%)」。2位は「入浴中や入浴後、浴室や脱衣所が寒い(32.1%)」となった。その他、寝室の寒さや騒音など様々な悩みも見られたとのことだ。
築年数ごとに「結露を経験したことはあるか」と尋ねると、昭和55年の省エネ基準以下で建設されている場合が多いとされる築20年以上で84%、築10~19年で68%、築10年以内で54%が「経験あり」と回答する結果に。築年数が増えるごとに、窓の結露悩みを抱える人が多くなることが判明。
国内の既存住宅は約5,000万戸のうち約9割が無断熱または現行基準よりも低い断熱性能の家という状況だという。窓の断熱性能が低いことで表面温度が下がり結露が発生しやすくなるだけでなく、室内で温めた熱が室外に逃げてしまい暖房効率が悪くなり光熱費が高くなる原因にもなってしまうとのことだ。
「窓が結露する」、「光熱費が高い」、「入浴中や入浴後、浴室や脱衣所が寒い」などは住まいの断熱性能に起因することが多く、同社は「窓の結露」は冬のお悩み解決に繋がる断熱リフォームのサインと言えるとしている。
また、浴室と脱衣所、リビングと廊下といった室内の寒暖差が大きいと様々な健康リスクが高まるという。
LIXILが近畿大学と共同で行った研究では、住宅の高断熱化によりヒートショックなど循環器疾患発症リスクの低減、アレルギー症状の緩和など健康面にも影響することがわかっているとのことだ。
また、戸建て住宅の窓改修による暖冷房費削減効果は約73万円/世帯・30年、医療費削減効果は約25万円/世帯・30年、薬剤費削減額は約5万円/世帯・30年となり、合計で約103万円/世帯・30年の経済的効果となったとのことだ。
■「窓の結露に悩んでいる」人ほど、「光熱費が高くなっている」と感じている。窓の断熱リフォームなら結露対策もしながら、節電&光熱費を年間20,000円節約!
「昨年(2023年11月頃)と比べた、自宅の光熱費」の状況について、71.2%が「高くなった」と感じると回答。光熱費高騰などの影響で、全体的に光熱費に高くなったと感じる人が多くなった。
一方で、結露悩みの有無で光熱費高騰の感じやすさに差がある傾向に。
結露悩みを抱える人は「 『とても』 高くなったと感じる」人が31%、結露の悩みがない人が27%と、結露悩みがない人の方が光熱費を『とても』高くなったと感じた人が少ない結果となっている。
冬に暖房を使用している時、58%の熱が窓やドアといった開口部から出入りしているため、暖房効率を高めるためには、窓の部分的な断熱が効果的とされているという。
中でも内窓を設置すると既存の窓との間に空気の層が生まれ断熱材の役割を果たすことから、同社の試算によると、例えば9カ所の窓に内窓(インプラス)を設置した場合748kwhもの節電になり、年間冷暖房費にして約20,000円も節約することが可能とのことだ。
■結露が気になる場所は「リビングの窓」のほか「寝室の窓」「浴室の窓」“ヒートショックリスク”の高い場所は結露も発生しやすい
「冬(主に11月~2月)の自宅の窓で結露が気になるのはどのような場所か」という設問の回答では、1位が「リビングの窓(63.3%)」、次いで家の中でも寒暖差が大きくなりやすい「寝室の窓(58.5%)」、「浴室の窓(35.8%)」という結果に。
住まいの寒暖差が大きくなりやすい場所はヒートショックリスクも高まるため、結露の発生をチェックすることで注意すべき箇所を見つけることができるとしている。
また、窓の結露に関する設問では、「水滴をふき取る(48.8%)」「換気をこまめにする(25.8%)」「結露吸水テープを窓に貼る(14.8%)」が上位。一方、結露防止効果の高いとされる「断熱性能の高い窓に交換・内窓の設置」はわずか4%の結果となった。
窓の結露は外気によって窓の表面温度が下がり、室内の暖気や水蒸気が触れることで発生するため、窓の断熱性能を高めないと根本的な対策にはなりにくいという。同社は、窓の断熱性能を見直すことで結露の防止やヒートショック予防に役立てることが快適な住まいに繋がるとしている。
■「住宅省エネキャンペーン」開始の2023年以降に断熱リフォームを実施した人のうち、8割は補助金を利用してリフォームを実施。2年間で累計約45万世帯が補助金を活用。
住宅省エネキャンペーンが開始された2023年度から、断熱リフォームを実施したことがある方に補助金制度を利用したことがあるか聞いたところ、80%がいずれかの補助金制度を利用したと回答。
「住宅省エネキャンペーン」は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、家庭部門の省エネを強力に推進するため、住宅の断熱性の向上や高効率給湯器の導入等の住宅省エネ化を支援する「子育てエコホーム支援事業」「先進的窓リノベ事業」などの4つの補助事業の総称。
例えば、断熱窓への改修を促進する「先進的窓リノベ2024事業」では、一戸あたり5万円から最大200万円までの補助を受けることができ、同社が2年間のデータを調査したところ、累計約45万世帯が補助金を活用していることがわかっているとのことだ。
一方、今回の調査では「断熱リフォームを実施した人」は全体の約6.6%、結露悩みが増加する築20年以上の人では約10%にとどまっており、同社はさらなる実施促進が課題として見えてきたとしている。
【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年11月実施
調査地域:全国
調査対象:4,700人(各都道府県100人)、20~50代男女
業務委託先:楽天インサイト
<参考>
LIXIL『住まいと断熱に関する調査』