三井住友信託銀行が設置している「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」(以下、ミライ研)は、1万人(全国の18歳~69歳)を対象に「新NISA独自アンケート調査」を実施し、結果を公表した。

「新NISA独自アンケート調査」を実施

1.NISA口座数は増加傾向、2024年に入ってから急伸

2024年より抜本的制度拡充がなされた「新しいNISA制度」(以下、新NISA)がスタート。

新NISA制度が始まる前後でNISA口座数はどのくらい伸びているのか、2024年6月に金融庁が発表したNISA利用状況調査をみると、2023年12月末から2024年3月までの3か月で約186.8万口座伸び、2322.8万口座に増加していることがわかった。

制度の拡充などを経て、NISA口座数は急速に伸びていることがうかがえる。

四半期ごとのNISA口座数の推移(2019年3月末~2024年3月末)

2.資産形成制度の認知度は新旧NISAがトップ

「資産形成のための制度」としての認知度を確認するため、「制度として知っているもの」を複数回答で選択してもらったところ、新旧NISA制度の認知度がトップとなった。

資産形成の制度における認知度は、NISA制度がトップで、次いでiDeCo(個人型確定拠出年金)が続いている。一方で、どの年代においても「この中にはひとつもない」との回答が約4割弱存在し、認知度の格差がありそうなことがうかがえる結果に。

「資産形成のための制度」の認知度(複数回答可)

また、認知度と合わせて新NISAの利用状況も調査。同調査が2024年1月であるため、実際に新NISAでの買い付けをスタートしていない人が含まれることを考慮する必要はあるものの、調査時点での新NISA利用率は14.5%という結果に。

新NISA制度の「認知」と「利用」のギャップは相応にありそうなことがわかった。

新NISA制度を「知っている」「実際に利用している」※割合のギャップ

3.新NISAの“利用者”と“利用意向がある人”を足し上げると、全体で3割を超える

続いて、新NISAを活用していない人における利用の「意向」を調査。

同調査で、新NISAを活用していないと回答した9,360名に対し、「2024年から開始の新NISA制度を今後活用するか」と聞いたところ、「活用する」「おそらく活用する」と答えた人は、「新NISAをすでに利用している」人数とほぼ同じ人数に上り、両者をあわせるとおよそ3割を超える水準に。

さらに、新NISA未利用者のうち、今後の利用意向について「わからない」と答えている層が、どの年代も4割前後いることがわかった。

新NISAの活用者割合と未利用者における活用意向

4.新NISA未利用者の中でも利用意向がある人は金融リテラシーセミナーへの参加経験率が高く、将来設計・資金計画を検討している

では、新NISAを現在利用していない人のうち、新NISAに対して「利用意向がある」人、「利用するかどうかわからない」人、「利用意向がない」人には、どのような経験・意識の差があるのか。

まず、「新NISAの活用者割合と未利用者における活用意向」から「すでに新NISAを利用している」人を除いてみると「NISA意向あり層=19.0%」、「NISAわからない層=47.0%」、「NISA意向なし層=34.0%」の比率となっており、「わからない層」が最大勢力であることが判明。

「2024年から開始の新NISA制度」を今後活用するか(ベース:新NISA未利用者)

これらの3つのセグメントにおいて「利用意向がある」層と「それ以外」の層で、「学ぶ機会」の有無を確認。

「金融リテラシー向上のためのセミナー」の受講経験をそれぞれのセグメントで集計すると、「NISA意向あり」層はセミナー参加経験者率が18.2%となり、それ以外の層と比べて、顕著にセミナーの参加経験率が高い傾向となった。

金融リテラシー向上のためのセミナーへの参加経験率と新NISAの活用状況(ベース:新NISA未利用者)

また、将来設計の状況にどの程度の差があるのかを調べたところ、新NISAの利用意向がある人の方が、「将来の生活設計・資金計画について検討したことはない」回答の割合が相対的に低くなる結果に。

「NISA意向あり層」のうち過半数は、何かしらの将来設計・資金計画の検討をしていることがわかる。

将来設計の状況とNISAの利用意向(ベース:新NISA未利用者)

<参考>
三井住友トラスト・資産のミライ研究所『新NISAに関するアンケート