マンダムは、40歳代女性の頭皮には特徴的な汗様のにおいがあり、その原因として低級脂肪族アルデヒドが関与することを明らかにしたと発表した。
なお、同研究成果は2023年12月に開催された「第1回 日本化粧品技術者会 学術大会」にて発表されている。
1.体臭の変化を実感している40歳代女性の頭皮は汗様臭が特徴的
40歳代女性に対して行ったアンケート調査で、体臭の変化を実感している40歳代女性グループは、変化実感のないグループと比較して頭部の発汗の増加や頭皮・毛髪のべたつきを実感している人の割合が高かったという。
そこで、体臭の変化を実感している40歳代女性の体臭について詳細に理解するため、体臭の変化を実感している40歳代女性グループ、体臭の変化を実感していない40歳代女性グループ、20歳代女性グループの体臭を鼻で直接嗅ぐ臭気評価を実施。
その結果、体臭の中でも特に頭皮臭に関してグループ間で大きな違いがあることが明らかとなった。
主となるにおいタイプを3グループで比較したところ、体臭の変化を実感している40歳代女性グループの頭皮のにおいタイプは汗様臭タイプであることが判明。
一方、体臭の変化を実感していない40歳代女性グループのにおいタイプは皮脂様臭であり、20歳代女性グループの頭皮臭に近いということがわかったという。
体臭の変化を実感している40歳代女性グループに特徴的な汗様臭は、水っぽく蒸れたような臭気で、この臭気は40歳代以降の男性の頭皮臭に特徴的な使い古した油のような臭気であるミドル脂臭とは大きく異なっていたとのことだ。
また、頭皮の臭気強度(においの強さ)を比較したところ、体臭の変化を実感しているグループは汗様臭の強度が有意に高いことが判明。
さらに、VAS(Visual Analogue Scale)法で頭皮臭の不快度を評価したところ、体臭の変化を実感している40歳代女性グループは、体臭の変化を実感していないグループよりも不快度が高いこともわかった。
以上より同社は、体臭の変化を実感している40歳代女性は特徴的な汗様の頭皮臭があり、またその臭気強度、不快度が高いことが明らかとなったとしている。
2.頭皮の汗様臭に低級脂肪族アルデヒド群が関係している
汗様臭の原因となるにおい成分を明らかにするため、同社は体臭の変化を実感している40歳代女性の汗様臭群、体臭の変化を実感していない40歳代女性の非汗様臭群、20歳代女性グループの頭皮臭を捕集。
捕集した頭皮臭サンプルに対し、におい嗅ぎガスクロマトグラフ質量分析計を用いた揮発性物質の臭気評価と構造推定による原因成分の探求を行ったところ、約200種の揮発性物質が検出されたという。
汗様臭は「水っぽく蒸れたような臭気」であるという特徴から、検出された約200種の揮発成分のうち低級脂肪族アルデヒドに関連があると考え、詳しく解析。
その結果、汗様臭群の頭皮臭には7種の低級脂肪族アルデヒドが有意に多く含まれていることが判明(図4)。また、臭気評価における汗様臭の強度と低級脂肪族アルデヒドの量は正の相関を示すことが分かったとしている(図4)。
さらに低級脂肪族アルデヒド7種について詳細に解析したところ、汗様臭群からブタナール、2-ブテナール、3-メチルブタナール、ペンタナールが有意に多く検出されたという。
これら4物質について、頭皮臭の臭気評価における汗様臭強度との関係をそれぞれ確認したところ、いずれも正の相関が認められ、ブタナール、3-メチルブタナール、ペンタナールは0.5付近の相関係数が得られた。
においを持つ揮発性物質にはそれぞれ固有の嗅覚閾値が存在し、低級脂肪族アルデヒド7種のうち、特に3-メチルブタナールは嗅覚閾値が低く、においは微量でも感じられやすいという特徴を持っていたとのことだ。
以上より同社は、40歳代女性の多くが20歳代の頃に比べて変化を感じる頭皮臭は、低級脂肪族アルデヒド群のなかでもブタナール、3-メチルブタナール、ペンタナールが強く関与した汗様臭であると考察。
また、この汗様臭の発生が40歳代女性の「頭皮や毛髪のべたつき」や「頭部の発汗量」の増加実感に影響を与えている可能性があるため、その関連性についても確認をしていくとしている。
同社は、今後この汗様臭に対する発生機序の解明や発生抑制ならびに汗様臭発生後の対処法についても研究を進めるとのことだ。
<参考>
マンダム『40歳代⼥性特有の頭⽪汗様臭の研究結果』