アストロスケールは、同社の商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(アドラスジェイ)」がニュージーランドのマヒア半島にあるRocket Labの第1発射施設(Launch Complex 1)より打ち上げられ、軌道投入に成功したことを発表した。
アストロスケールは、持続可能な宇宙環境を目指し、宇宙ゴミであるスペースデブリ(以下、デブリ)除去を含む軌道上サービスに取り組むアストロスケールホールディングスの子会社で、人工衛星システムの製造・開発・運用を担っている。
アストロスケールは、大型デブリ除去等の技術実証を目指す宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証(CRD2)フェーズⅠの契約相手方として選定、契約を受けて、ADRAS-Jを開発。
ADRAS-JはRocket Labのロケット「Electron(エレクトロン)」による打上げ・軌道投入後、非協力物体である日本のロケット上段への接近・近傍運用を実証し、長期にわたり放置されたデブリの運動や損傷・劣化状況の撮像を行うとしている。
なお、今回打ち上げられたロケット「Electron(エレクトロン)」は、計画通り飛行、その後、高度約600kmにて衛星を分離し、衛星から受信した信号により正常に通信ができることを確認したとのことだ。
同ミッションは、実際のデブリへの安全な接近を行い、デブリの状況を明確に調査する試みとなっており、デブリ除去を含む軌道上サービスにおいて不可欠な要素だという。
同ミッションで接近・調査の対象となるデブリは、2009年に打ち上げられたH2Aロケットの上段(全長約11m、直径約4m、重量約3トン)。
非協力物体であり、位置情報を発信していないため正確な位置情報を取得することができない状態の中で、ADRAS-Jは地上からの観測データや搭載センサを駆使して接近を行うとしている。
現在は「Electron」でのミッションはADRAS-J搭載機器のチェック等を行う初期運用フェーズに移行されており、完了後はランデブや近接接近、近傍運用等の技術実証に挑むとのことだ。