日本財団は、受刑者・少年院在院者(以下、受刑者等)の社会復帰を支援する職親プロジェクトの一環として、法務省と連携し、受刑者等に対する就労支援策として、メタバース空間での企業説明会等を実施した。
当日は東京(日本財団ビル)および大阪の2つの会場から飲食業や建設業全13社が参加し、受刑者等からは「入れ墨やピアス等があっても働けるのか」「必要な資格はあるのか」といった質問が出たり、清掃業に興味のある受刑者等が自らの綺麗好きをアピールするなど、積極的に発言をしていたという。
また、直接企業担当者と顔を突き合わせての面談ではなく、メタバース空間の利点を活用してか、寮の有無や給与面での待遇等、普段では聞きづらいことについても積極的な質問が出たとのことだ。
面談を終えた企業からは「一度に多数の参加者と会話ができ、効率的であった」、「(対面でないことから、受刑者側の)参加者にプレッシャーが少なく、積極的な質問が出てよかった」といった声が聞かれ、一定の手ごたえと取り組み拡大へ向けた期待がみられたとしている。
日本財団は、メタバース空間を活用した就労支援が広がることで、これまでのように職業選択の幅が狭く、自分の適性に合わない職種を選んでしまった結果、離職してしまい結果再犯に繋がってしまう、というリスクを軽減できると考えているという。
今回は試験的に関東圏の企業を中心に開催されたが、2024年度からより同取組を本格化させ、全国へ展開予定する予定としている。
また、今後は海外の司法制度に関する研究会や今回のようなメタバース空間での企業説明会だけでなく、VRを導入し建設業の足場トレーニングや飲食業の調理訓練といった職業体験の機会提供など、幅広い取り組みを行っていくとのことだ。