キリンビバレッジとキリングループロジスティクスは、三菱重工業と三菱ロジスネクストとともに行った、飲料出荷拠点への「自動ピッキングソリューション」導入に関する共同実証で実効性が検証されたことから、神奈川県海老名市の「海老名物流センター」に同ソリューションを導入すると発表した。
同ソリューションは、これまで物流現場の作業者自身が効率化を考えながら行っていたパレット上に積み付ける作業(ピッキング)を自動化・知能化し、コンベヤーなどの固定設備を使わずに、無人フォークリフト、無人搬送車、ピッキングロボットを連携させて導入することができる可動式で汎用性が高いソリューション。
これにより、飲料が入った重量のある段ボールを人の手を介してピッキングを行う重筋作業やフォークリフト搬送を自動化し、作業環境の改善やピッキング人員を検品など他の作業への再配置を進めることができるという。
物流センター全体の人手不足の解消、待機車両時間を短縮することが可能となるため、2024年問題の対応を加速することにつながるとのことだ。
また、同ソリューションは自動化・知能化した設備のため、原則的に完全自動化への切り替えが可能となっているが、今回は有事の際に人による作業が可能なハイブリッドなオペレーション設計にすることで、停電・自然災害などによるBCP(事業継続計画)を考慮した構成となっているという。
今後は、2023年6月に内閣府より発出された「物流革新に向けた政策パッケージ」に対応するため、夜間帯での無人作業も検討していくとのことだ。
【共同実証の概要と結果】
期間:2022年11月~2023年6月
場所:三菱重工業 Yokohama Hardtech Hub内実証施設「LogiQ X Lab」(神奈川県横浜市)
内容:
1)キリンビバレッジの倉庫オペレーション状況下でのピッキングソリューションの検証
2)ピッキングソリューションの生産性確認及び、倉庫導入に向けた生産性向上の検証
3)キリンビバレッジの倉庫の自動化範囲と人的作業範囲の最適化検討、運用プロセス確立
4)キリンビバレッジの倉庫向け設備・システム仕様の検討
結果:
1)海老名物流センターを前提としたピッキングソリューションの設備・システム仕様の構築
2)ピッキングソリューションによる生産性42%向上(実証前比)
キリングループと三菱重工グループは、今後も飲料業界が抱えるさまざまな物流課題の解決に向けて連携して取り組んでいくとのことだ。