インターナショナルSOSは、世界的に感染が増加しているデング熱についての最新情報を公表した。
デング熱の感染者数は、過去数十年で顕著に増加しており、2019年は2000年の5倍以上となっているという。世界保健機関(WHO)は、世界人口の約50%がデング熱のリスクにさらされており、この疾病は100か国以上で存在し、新たな地域にも広がっていると警告している。
デング熱は世界的に広まっており、特にアメリカ大陸では、今年の7か月間で約300万人がデング熱に感染し、2022年の報告数を20万人上回っているという。
また、ボリビア、ブラジル、ペルーをはじめ、中南米の多くの国や地域で感染数が増加。さらにアメリカのいくつかの州でも局地的なデング熱感染が発生しており、デング熱だけでなく、その他の蚊の媒介による病気も増加傾向となっている。
WHOは、アメリカ大陸はデングウイルスを媒介する蚊が地理的に広い地域に生息しているため、デング熱による継続的なリスクは高いと評価しているが、アメリカ大陸以外では、デング熱が(まだ)定着していない地域で、局地的な感染が起こるという傾向が繰り返されているとのことだ。
インターナショナルSOSは、現在のデング熱の感染増加について、理由は複雑だが都市化と気候変動が世界的な分布の拡大と感染シーズンの長期化に影響していると考えられるとしている。
デング熱は、感染した蚊に刺されることで感染するウイルス性疾患で、Aedes aegyptiやAedes albopictusといった蚊が主な感染源として知られている。まれに感染した血液製剤を介して感染することもあり、妊娠中の母親から赤ちゃんへの感染を示唆する証拠もあるという。
デング熱の予防は蚊に刺されないような対策が重要となり、蚊の多い場所を避ける、肌を覆う衣服を着用する、効果的な蚊よけを使用するなどの方法が挙げられている。
インターナショナルSOSは今後の最善策として、デング熱の地域社会での感染を減らすために、組織が蚊の駆除対策や感染予防メッセージの発信が必要だとしている。
個人レベルでは、「感染の危険性」「蚊が繁殖する可能性のある場所の除去などの予防策」「感染の症状、医師の診断を受けるタイミング」などを認識することが重要とのことだ。