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女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する「フェムテック(Femtech)」。とはいえ、日本におけるフェムテックの領域はさらに広く、女性のライフステージにおける「生理・月経」「妊活・妊よう性」「妊娠期・産後」「プレ更年期・更年期」といった課題を解決に導く製品やサービス全般を含むことが多い。
矢野経済研究所の調査によれば、2021年のフェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場規模は、前年比107.7%の642億9,700万円で、その後も伸びが予想されている。株式会社グローバルインフォメーションの市場調査レポートにおいても、フェムテック市場は2023年から2032年にかけて大規模な成長を示すと予測されている。
市場の拡大と共にイベントも活況だ。今回は2023年6月8日にザ ストリングス 表参道で開催された「フェムテックジャパン 2023 / フェムケアジャパン 2023 in TOKYO」の現地レポートをお届けする。国内フェムテック・フェムケア最新商品やトレンドとはーー。
進化系吸水ショーツも登場。豊富な生理用品
会場内で種類が豊富だったのが、吸水ショーツやナプキンをはじめとした生理用品だ。
特許出願中の新技術「木の葉構造」を採用した「Cuip 吸水ショーツ」(6,600円)は、30ccの吸水量がありながらスリムな生地が特徴だ。10種類の豊富なカラー展開で、生理の日でも気分に合わせてオシャレを楽しめるように、という狙いがあるそうだ。
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総合繊維メーカーのセーレン社からは、吸水ショーツ「hanayaka」のシリーズが紹介されていた。着心地を追求して無縫製にしていたり、スタイルアップの機能が付いていたり、従来の吸水ショーツから進化している印象だ。
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ショーツの上に重ねて履くことで生理中の漏れやムレの不安を解消できるインナーショーツ「Angelite」(5,500円)は、新しい発想のアイテム。特許取得済のすぐれた防水機能により、かなり薄手ながら漏れやムレを防ぐという。
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水着の下に履く「水泳用サニタリーショーツ」(3,300円)も発見。経血を漏らさない防水生地を使用したショーツで、上から水着を履いても目立ちにくいデザインになっている。経血の漏れを防ぐが吸水機能はないそうだ。
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敏感肌の人にもやさしい肌あたりを実現した生理用ナプキンも。「ナチュラムーン生理用ナプキン」シリーズは、日本で初めて(※)トップシートに天然コットン100%、吸収体に高分子吸収剤不使用を実現したナチュラル生理用品だ。
※医薬部外品認可を受けている生理用ナプキンとして(2011年G-Place社調べ)
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肌に触れる部分が化学繊維ではなく天然コットン100%の不織布のため、肌にやさしくカブれにくい。また、吸収体は高分子吸収剤の代わりに綿状パルプを使用し、天然素材でも経血をしっかり吸収する。
性を楽しむ。注目のプレジャーグッズ
2013年3⽉に誕生した⼥性向けセルフプレジャー・アイテムブランド「iroha」からも、いくつかの商品が紹介されていた。体に当てたり挿入したりして使用するアイテムのほか、98%が水分でできた使い切りの「iroha petit」も。
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会場の中で特に目を引いたのが、2023年5月に発売されたばかりの吸引バイブ「Tulipa(チュリパ)」(15,400円)。パッと見では何だかわからないが、女性の性感帯であるCスポットを3段階の吸引で刺激するアイテムだ。
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セルフプレジャーのビギナーから上級者まで幅広い人が満足できるよう設計されている。最高級医療用シリコンを使用しており、丸洗いも可能だ。同製品を発売するブランドaibからは、デリケートゾーンのケア用品や潤滑ローションも発売されている。
妊活サポートや性教育サービスも
妊活サポートで気になったアイテムもいくつかあった。
男性用の妊活アイテム「SwimCount(スイムカウント)」(実勢価格6,000円前後)は、前進運動精子(元気があり前に向かって泳ぐ精子)の濃度を自宅で簡易的に確認し、WHOの基準値と比較できる。
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新しい妊活スタイルとして知られるセルフシリンジ法のためのキット「タイミングエイド(TIMING AID)」(実勢価格13,000円前後)も。これは、採取した精液をシリンジ(針のない注射)を使って、女性が自身で腟に注入する方法で、性機能障害(ED,膣内射精障害、性交痛、性嫌悪等)の人をターゲットにしている。
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性機能障害のほか、生活のサイクルの違いで時間を合わせにくい夫婦の利用者もいるようだ。精液は採取後速やかに注入するとされており、接種後2時間以内が推奨されている。
妊活、及び女性の体の悩みをサポートする体調記録アプリ「4MOON(フォームーン)」は、女性向けメディア「4MEEE(フォーミー)」を運営する4MEEE社が2021年5月にリリースしたサービスだ。
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数ヶ月先まで予定を把握できる生理日予測、食事や体重管理、排卵日予測、基礎体温管理、パートナー共有、体調記録など豊富な機能があり、すべて無料で利用できる。10代〜50代以降まで幅広い世代をサポートする。
家庭で性教育をするためのサービス「命育」は、幼児期から思春期までの子どもの性教育をサポートするコンテンツが盛りだくさん。一部は無料で閲覧できるが、プレミアム会員(月額418円)のみが閲覧できるコンテンツも多い。医師をはじめとした複数の専門家がコンテンツを監修している。
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10月には東京ビッグサイトで「Femtech Tokyo」も開催
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今回の「フェムテックジャパン 2023 / フェムケアジャパン 2023 in TOKYO」は、50〜60社・団体が出展、約800〜1200名が来場した。会場は女性がメインではあるものの男性もチラホラと見られ、熱心に出展者の話に耳を傾けていた姿が印象的だった。
10月5日〜7日には、第2回「Femtech Tokyo」が東京ビッグサイトで開催される。フェムテック・フェムケア企業が200社出展予定で、より広範囲にフェムテック・フェムケアの商品やサービスを知る機会になるはずだ。
取材・文・撮影:小林香織
編集:岡徳之(Livit)