九州旅客鉄道(以下、JR九州)、JR九州駅ビルホールディングス(以下、JR九州駅ビルHD)、JR博多シティ、国立大学法人東京大学(以下、東京大学)およびソフトバンクの5者は、JR博多駅に立地する大型商業施設「JR博多シティ」において、来館者数や売り上げに影響を及ぼす要因をAIで特定し、さらに高精度な長期予測を行う研究を共同で開始した。
同研究は、九州地方で最大級のターミナル駅に隣接する大型商業施設「JR博多シティ」において、来館者数および売り上げ予測を実施。
同研究では駅から半径2.5キロメートル圏内に鉄道・空港・港・商業地区などがコンパクトに存在するJR博多駅を、日本の成長する都市の代表的なモデルと位置付けている。
そのJR博多駅に隣接する「JR博多シティ」の来館者数には、JR博多駅の乗降客数・気象・周辺イベント・社会情勢など多くの要因が関連しており、将来予測が難しい現状があるという。
今回、ビッグデータやAIの活用により、現状の可視化および来館者数や売り上げの予測を行うことで、「JR博多シティ」における施策に反映し売り上げの拡大を図るとともに、利用者にとって、より楽しく、より生活が豊かになるような魅力的な施設づくりを目指すとのことだ。
■研究の概要
東京大学とソフトバンクは、Beyond AI研究推進機構の研究の一環として、将来予測に係る独自の手法を活用し、「JR博多シティ」を実証実験のフィールドとして、高精度な来館者数および売り上げ予測の研究を実施。
同研究は、東京大学 空間情報科学研究センターの高橋 孝明教授と菅澤 翔之助准教授が独自に開発した統計手法を組み込んだAIに、ソフトバンクの人流統計データとJR九州グループ各社から提供される各種データを活用。なおデータは、個人を特定する情報を含まない形のものを取り扱う。
同研究を通して、来館者や売り上げに影響を及ぼす要因をAIで特定し、その予測プロセスをより分かりやすく説明できるようにすること、また来館者数と売り上げを約1か月先まで毎日1時間単位で高精度に予測することなどの実現を目指していくとのことだ。
また、東京大学とソフトバンクは、同研究成果をもとにAIを活用した実用性と汎用性の高いサービス提供を目指し、さまざまな都市におけるスマートシティ化の推進に貢献するとしている。
研究の期間:
2023年1月~2024年9月
役割分担:
5者による産学連携で研究を進める。
●JR九州/JR九州駅ビルHD/JR博多シティ:
本研究に必要なデータの提供および実証実験のフィールドを提供
●東京大学:
解釈性と予測精度を高めた予測モデルの研究開発。東京大学空間情報科学研究センターの高橋 孝明教授および菅澤 翔之助准教授が独自開発した統計手法を組み込んだAIを提供
●ソフトバンク:
同研究の企画と推進、開発における支援および人流データの提供。本研究のノウハウを用いた将来的な事業化の検討