ユニセフは、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、世界保健機関(WHO)およびパートナーと、「2030年までに子どものエイズをなくすための新たな国際同盟(The new Global Alliance for Ending AIDS in Children by 2030)」を発足することを、カナダのモントリオールで開催された国際エイズ会議において発表した。

© UNICEF/UN0656477/Schermbrucker

同国際同盟は、子どもたちのための進捗の停滞と、子どもとおとなの間の格差の拡大を懸念し、2030年までにすべてのHIVとともに生きる子どもが治療を受けることができ、新たな乳児のHIV感染を防止することを目的としている。

同盟には、国連機関に加え、HIVとともに生きる人々のグローバルネットワークを含む市民社会、最も影響を受ける国々の政府、そして米国大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)やグローバル・ファンドなどの国際的なパートナーが参加。

第1期では次の12か国も同盟に参加したとのことだ。(アンゴラ、カメルーン、コートジボワール、コンゴ民主共和国(DRC)、ケニア、モザンビーク、ナイジェリア、南アフリカ、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ)

なお、同国際同盟による協議によって特定された、共同で行動していくための4つの柱は以下の通り。

1.HIVとともに生きる妊娠中および授乳中の10代の女の子や女性の治療格差を解消し、治療の継続性を最大限高める
2.妊娠中および授乳中の10代の女の子および女性の間の新たなHIV感染を予防・発見する
3.HIVに感染し、HIVとともに生きる乳児、子ども、若者のための利用しやすい検査、最適な治療、包括的ケアを促進する
4.権利、ジェンダー平等、およびサービスへのアクセスを妨げる社会的・構造的障壁に対処する

子どもをHIVから守るために

「UNAIDS Global AIDS Update 2022」のデータによると、世界でHIVとともに生きる子どものうち、命を守るための治療を受けているのはわずか半数(52%)で、4分の3(76%)が抗レトロウイルス薬治療を投与されている大人の水準に大きく遅れをとっていることが明らかになっているという。

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセル氏は、次のようにコメントしている。

「HIVの母子感染の減少、検査と治療の増加、情報へのアクセスの拡大などの進展にもかかわらず、世界中の子どもたちは、HIVの予防、ケア、治療サービスを受けられる可能性がおとなよりもはるかに低いのです。ユニセフは、エイズのない未来を実現するために、すべてのパートナーとともに取り組んでいきます」