エリクソンは、Vonage Holdings Corp. の買収を完了したと発表した。
これはエリクソンがテクノロジー・リーダーシップを活用してモバイルネットワーク事業の成長とエンタープライズ領域での事業拡大を目指す戦略を裏付けるものであるとのことだ。
今回の買収により、エリクソンはCommunications Platform as a Service (CPaaS)、UCaaS、CCaaS を含む一連の通信ソリューションを提供するための強力な構成要素を備えることとなったという。
エリクソンは、Vonage CPaaS製品を活用することにより、先進的な5Gネットワーク機能の公開や消費、支払いの方法の変革を目指すとしている。
これにより、Vonageの100万人以上の開発者を含むグローバルな開発者コミュニティは、オープンなアプリケーション・プログラム・インターフェース(API)を通して4Gおよび5Gネットワーク機能に容易にアクセスすることが可能となる。
通信サービスプロバイダー(CSP)にとって、位置情報やサービス品質のAPIなどグローバルのネットワークAPIは、5Gネットワーク機能を収益化するためのプロフィットプールを拡大する新たな機会を提供するという。
エリクソンにとって、グローバルAPIは新たに重要な成長機会を提供。動画や音声、SMSなどのコミュニケーションAPIの既存市場は現在、年率30%で成長しており、2025年には220億米ドルに達すると予測されているとのことだ。
グローバルAPIを通じてオープンで直感的かつプログラマブルな方法でネットワーク機能へアクセス可能なことにより、開発者コミュニティは5Gネットワークへの接続から恩恵を受ける、あらゆるデバイス向けにアプリケーションを作成できるようになる。
開発者は、ユーザー認証や帯域幅、応答性、エネルギー効率、セキュリティ、識別、信頼性などのネットワーク特性や、デバイス情報、予測範囲などのネットワーク情報を利用することができるという。
これらの新しく革新的な消費者および企業向けアプリケーションは、5Gの普及とネットワークの設備投資をさらに促進させることが見込まれるとのことだ。
エリクソンは、Vonageの UCaaS および CCaaS ソリューションの成長を加速させるため、研究開発投資を増加。これらのソリューションを通信サービスプロバイダー(CSP) へ提供することにより、エリクソンの既存顧客が自社ブランドを通じて販売し、その成長を加速させていくとしている。
Vonage の UCaaS および CCaaS ソリューションはエリクソンの中小企業向けの既存の通信サービスを補完し、通信サービスプロバイダー(CSP)とエンタープライズ向けのエリクソンのサービスの強力な部分を形作っていくという。
Vonageは直近でOmdia Universeのリーダーに選出されており、また「CPaaS Platform 2022」レポートにおいて、顧客体験とソリューション能力で上位に位置付けられているという。
現在、12万社以上の企業顧客へサービスを提供し、100万人以上の開発者によるグローバルコミュニティを持ち、年間250億のメッセージと分単位を組み合わせた高度なスケーラビリティを持つプラットフォームを有しているとのことだ。
これにエリクソンのネットワークに関する深い専門知識、業界をリードするポートフォリオ、グローバルな規模が加わることで、エリクソンはグローバルネットワークAPI市場を開拓し加速させることができると期待されているという。
通信サービスプロバイダー(CSP)は、国や地域を超えたグローバルな展開により利益を得ることができる。
また、この買収によりエリクソンは120 年に及ぶ事業活動の歴史を持つ米国での存在と長期的なコミットメントをさらに強化させることになるとしている。
同取引に関する追加情報
同取引は、2024年以降、エリクソンのEPS(非現金償却の影響を除く)およびM&A前のフリーキャッシュフローに対して増収効果をもたらすと予想される。
Vonageはエリクソン・グループの中でグローバル・コミュニケーション・プラットフォーム事業部門(Business Area Global Communication Platform: BGCP)という独立した事業部門となる予定とのことだ。
Vonageの現CEOであるローリー・リード(Rory Read)は、上席副社長兼グローバルコミュニケーションプラットフォーム事業部門責任者に任命され、エリクソンのエグゼクティブ・チームの一員となるという。
同取引の完了により、Vonageはエリクソン・グループの一員として従来の社名とブランドで事業を継続することになる。
Vonageの業績は、2022年第3四半期より、エンタープライズ領域、ビジネスエリアエンタープライズ・ワイヤレス・ソリューション事業部門、テクノロジーおよび新規ビジネス事業部門に計上される予定。
Vonageの普通株式は取引を停止し、Nasdaq Global Select Marketでの上場は終了するとのことだ。
同買収は手元資金で賄われ、米ドルの金額は、外部取引とエリクソンの継続的な米ドル資金流入の内部ネッティングの両方でヘッジされているという。
この買収により、通信サービスプロバイダー(CSP)の自社ブランドによる販売や、2025 年までに 4 億米ドルの貢献が見込まれる統合製品ポートフォリオのクロスセリングなど、短期的な収益シナジーが期待される。
また、エリクソンは、同取引の完了により、ある程度のコスト効率化が達成されるものと見込んでいるとのことだ。
Vonageは、成長と利益率の向上において確固たる実績を持っている。2022年3月31日までの12か月間の売上高は14億米ドル、同期間の調整後EBITDA利益率は13%、フリーキャッシュフローは93百万米ドルであったという。
エリクソンは、EBITAマージンを15~18%、M&A前のフリーキャッシュフローを売上高の9~12%とする以前発表した長期財務目標、およびVonageを除くエリクソン・グループのEBITマージンを12~14%とする2022年の目標を引き続き確約している。
Vonageは現在、2020年に開始された過去の消費者慣行に関する調査の解決に向け、米国連邦取引委員会と係争中とのことだ。