花王と佐賀大学教育研究院、筑波大学大学院人間総合科学学術院の研究グループは、高齢女性を対象に尿ケア用紙パンツの吸収体の厚さが歩行動作に与える影響について検討し、結果を公表した。
なお、同研究内容は、第22回日本抗加齢医学会総会にて発表されている。
■異なる吸収体の厚さで歩行動作を解析
66~75歳(平均70歳)の健常高齢女性15名を対象として、吸収体の厚さが異なる3種類の紙パンツ(A:7mm、B:12mm、C:16mm)を使用してもらい、歩行動作を解析。
今回は、(1)シート式圧力センサーによる歩幅や歩隔、歩行速度などの計測、(2)無線型筋電計による歩行中の左右腓腹筋の筋力変化の計測、(3)マーカーレス3次元動作解析装置による左右膝関節や左右つま先など全身33か所の評価点の動作の解析の3つの方法を用いて評価したとのことだ。
■吸収体が薄いほど、歩行時の身体のふらつきが軽減
歩行動作の解析の結果、吸収体が薄いほど、(1)左右の足運びのバランスが良くなり、身体が安定するので歩隔が狭くなる、(2)左右の足の最大筋力が均等に近づく、(3)高齢者に特徴的な歩行時の身体のふらつきが軽減することがわかったとしている。
また、はき心地や歩きやすさなどの心理面でも、吸収体が薄いほど違和感が減り、装着感が良くなることを確認。
以上より、吸収体が薄い紙パンツを使用することで、歩行時の左右のバランスが安定し、全身のふらつきが軽減することがわかったという。これにより、転倒などのリスクをより低減できる可能性があると考えられるとのことだ。
研究の結果、軽失禁や頻尿などの不安を減らすことができる尿ケア用紙パンツについて、吸収体の厚さを薄くすることで、歩行時の動作の負担やふらつきが軽減することがわかったとしている。
花王は今後、同知見を吸水機能が高く吸収体がより薄い高齢者向け紙パンツの開発へと応用し、高齢者の転倒やフレイル予防対策を通して健康寿命延伸へと貢献していくとのことだ。