富士通は、NTTドコモ(以下、ドコモ)および日本電信電話(以下、NTT)と、第6世代移動通信方式(以下、6G)の実用化に向けた共同実験を行うことで合意し、実証開始に向けて取り組みを始めると発表した。

同共同実験では、6G で利用が検討されている100GHz帯および300GHz帯の高周波数帯(サブテラヘルツ波)の電波を用いた、障害物による遮蔽に強い高速通信技術を開発するとともに、化合物半導体を活用した高周波無線装置の実現を目指すとしている。

同社は、ネットワークテクノロジーをデジタルイノベーションによるビジネス変革と持続可能な社会の実現に不可欠な技術と位置づけており、今後、グローバルな6Gの標準化活動にも積極的に取り組み、研究開発を通じて社会課題の解決に貢献していくとのことだ。

背景

6Gは2030年頃の本格的なサービス提供に向けて検討が進められている新しい移動通信方式で、現行の通信方式である 5Gが持つ高速・大容量、低遅延、同時多数接続といった特長をさらに進化させ、かつ低消費電力での通信の実現を目指して、国際的な研究開発が進められているという。

6Gの実現で社会のデジタル化がさらに加速することで、複雑な社会課題の本質的な解決が期待されているとのことだ。

課題

5Gを上回る高速・大容量通信にはより広い周波数帯域の活用が不可欠であり、6Gでは100GHzを超える高周波数帯の利用が検討されている。

これにより5Gの10倍となる、100Gbpsを超える通信速度を実現できる可能性があるが、電波は周波数が高くなると障害物で遮蔽されやすくなる性質があり、離れた地点間での通信が難しくなる傾向があるとのことだ。

共同実験の概要

そこで同は、ドコモおよびNTTとともに、複数のサブテラヘルツ波アンテナを分散配置し、受信端末に対して様々な方向から幅広く同時に電波を発射する分散MIMOの共同実験を実施。

同共同実験を通して、障害物による遮蔽に強く、100Gbpsを超える高速無線通信を安定して実現する技術開発を目指すとのことだ。

共同実験のイメージ

また富士通は、サブテラヘルツ波における高速・大容量通信を小型・低消費電力で実現するために、窒化ガリウム(GaN)やインジウムリン(InP)などの化合物半導体を活用した高周波無線装置の実現を目指すという。

同社は、今後、6Gの実現に向けた技術開発を推進するとともに、標準化活動にも積極的に取り組み、デジタル化による社会課題の解決と持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。