ソニーグループ(以下、ソニー)は、スコープ1から3までを含むバリューチェーン全体でのカーボンニュートラルの達成目標を2050年から2040年へ、また、自社オペレーションでの再生可能エネルギー(以下、再エネ)100%の達成目標を2040年から2030年へ、それぞれ10年前倒しすると発表した。

ソニーは、地球環境について、「責任」と「貢献」という両面から様々な取り組みを行っている。

1990年代初頭から環境活動方針と行動計画を掲げて活動しており、2010年には、自社の事業活動および製品のライフサイクルを通して、地球環境に及ぼす負荷を2050年までにゼロとすることを目指す長期環境計画「Road to Zero」を公表。

「Road to Zero」は、ソニーが地球環境に対して果たす「責任」を象徴するもので、気候変動、資源、化学物質、生物多様性の4つの視点で、それぞれにゴールを設定し、「環境負荷ゼロ」を総合的に実現するまでのロードマップを描いているとのことだ。

世界的に気候変動リスクが顕在化・深刻化し、脱炭素化社会への移行に向けた対応が喫緊の課題となる中、ソニーは、今般、気候変動領域における環境負荷低減活動を加速し、この領域における環境負荷ゼロの達成目標年を10年前倒しすることを決定。

1.カーボンニュートラルの達成年を2040年へ前倒し

カーボンニュートラル、つまり温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロ、の達成目標年を2050年から2040年に前倒し。

具体的には、2030年までに、自社オペレーションにおける直接・間接排出(スコープ1、2)をカーボンニュートラルとするという。

さらに、2040年には、スコープ1、2に加えて、製品、サプライチェーン、物流などその他の排出(スコープ3)も対象とし、全スコープにおいて排出量実質ゼロを目指すとのことだ。

2.「RE100」 100%再エネ化の達成目標を2030年へ前倒し

再エネの導入を推進しているソニーは、国際イニシアチブである「RE100」に加盟している。今回、「Road to Zero」の気候変動達成年の前倒しに加え、自社事業所で使用する電力を100%再エネ化する目標も、2040年から2030年に前倒しするという。

これに伴い、「Road to Zero」達成に向けた環境中期目標「Green Management 2025(以下、GM2025)」の重点項目の一つである、2025年時点での再エネ由来の電力使用率を、従来目標の15%から35%に引き上げ。

同時に、再エネ調達方針において、発電設備導入時や運転時の環境配慮項目などを追加する改定を行ったという。

3.カーボンニュートラルおよび再エネ100%に向けた施策

再エネ電力100%、また、スコープ1から3全体でのカーボンニュートラルを、それぞれ2030年、2040年までに達成するために、ソニーグループでは主に次のような施策を実施していくという。

1.自社事業所における継続的な環境負荷低減:ソニーグループ全体で、省エネルギー(以下、省エネ)化、太陽光発電設備の設置、再エネ導入を加速。
2.ソニー製品の省エネ化のさらなる推進:ソニー製品1台あたりの年間消費電力量の低減に向けた動きを加速。
3.パートナーへの働きかけ強化:部品、材料、完成品の製造委託先などソニーグループのビジネスパートナーにも、それぞれのGHG排出量の管理、省エネ、再エネ転換などを促し、サプライチェーン全体でのGHG排出量の削減を目指す。
4.炭素除去・固定への貢献:ソニーが環境技術を育成する取り組みとして2020年9月に創設したコーポレートベンチャーキャピタルSony Innovation Fund: Environment(以下、SIF:E)による炭素除去等の関連スタートアップへの投資検討や、2021年4月にSIF: Eの第一号案件として設立したSynecO(シネコ)の協生農法をはじめとする拡張生態系の普及事業に伴う炭素吸収のクレジット化の検討など、技術的な除去・生態系による吸収の両面から炭素固定に貢献していく。

今回、発表したカーボンニュートラルや再エネ電力100%の達成目標の前倒しは、ソニーが、企業としての「責任」として取り組んでいる事項の一部であるが、ソニーは、自社の技術や事業、またパートナーとの共創により、地球環境への「貢献」にも積極的に取り組んでいる。

持続可能なより良い社会と地球環境の実現に向けた活動を引き続き推進していくとのことだ。