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企業の採用を支援するワークス・ジャパンは、産業経済新聞社(以下、産経新聞社)と合同で、2023年3月卒業・修了予定の大学生、大学院生を対象に、就職希望先企業調査を実施した(回答数2万9,150票)。
【調査サマリ】
1.コロナ時代でオンライン中心の就職活動を行っている学生は、どのような価値観や視点で就職希望先企業を選択したのか
2.文系総合では、「生命・損害保険」「総合商社」「銀行・証券」が上位に
3.理系総合では、「IT・ソフトウェア」「コンサル」に人気が集まる
4.就職活動の起点はインターンシップとなっている
5.企業の取り組みに対して学生の共感・納得を促すための情報発信も重要に
【就職希望企業人気ランキング結果|文系総合】
【金融大手、総合商社に支持。インターンシップが採用活動の起点に】
文系総合の1位は、伊藤忠商事、2位は損害保険ジャパン、3位には東京海上日動火災保険が入った。
伊藤忠商事は、視聴者制限なしのオンラインセミナーやVRを活用したイベントを開催するなど、現在の学生と親和性の高い情報発信を強化。損害保険ジャパンは、22卒よりインターンシップをオンライン化。
アンケートやチャット機能を活用したグループワーク方式で業務体験を促すなど、企業と学生の双方向性を意識した広報活動や現場社員との交流を多く設けて企業理解や共感を促す施策を数多く行ったことで、学生の支持を集めたとのことだ。
就職活動の起点はインターンシップ
多くの企業が、昨年9月に実施した「インターンシップ人気企業ランキング」でも上位にランクインしている。
学生からも「事業戦略パートナーとして新しいビジネスモデルへ挑戦している姿勢に共感できた」(東京海上日動火災保険)、「副業や週2週3勤務が可能など、働き方改革への高い意識を感じた」(みずほフィナンシャルグループ)といった声が聞かれ、インターンシップを起点として学生と密なコミュニケーションを徹底し、企業理解・事業理解を促すことで学生からの高い興味関心につなげているとのことだ。
文系男子では「不動産」、文系女子では「出版」が人気
その他の業界に目を向けると、9位のニトリ、12位の講談社、17位の楽天グループなど、学生にとって身近な商材を扱う企業も高い支持を得ている。
男女別にみると、文系男子では、10位に三井不動産、14位の三菱地所といった「不動産」が、文系女子では、4位に講談社、12位の集英社などの「出版」が上位にランクイン。
【就職希望企業ランキング結果|理系総合】
【DX推進や社会への貢献性の2軸に支持が集まる】
理系総合のトップは、ソニーグループ。2位にはNTTデータがランクイン。8位の日立製作所、10位の富士通も含め、各社事業領域は異なるものの、DX推進といったビジネスイノベーションへの取り組みを強化しており、学生からも「高い技術力を有していると感じる」といった声が多くあがったとのことだ。
若手からスキルを磨ける場として支持を集める「コンサル」
3位のアクセンチュア、5位の野村総合研究所、20位のPwCといったコンサル系も支持を集めているという。
各社の企業サイトには、AIやブロックチェーンといったキーワードが並び、企業のDX化や働き方改革における重要なパートナーとしての存在感の大きさや「若いうちからスキルを磨くことができると感じる」など、学生が自身のキャリア形成を見据えた上で魅力的な場であると感じているとのことだ。
マッチング採用を重視するモノづくり、インフラ系メーカー人気も根強い
4位のトヨタ自動車、6位のパナソニック、12位の三菱重工業など、事業のスケール感や幅広い事業領域、社会貢献性の高さが特徴であるモノづくり、インフラ系メーカーへの支持も根強いものがある。
採用手法もマッチングを丁寧に行うアプローチが主体で「やりたい仕事ができるから」「自分の専攻を活かしたい」という学生から人気を集めている。
幅広い業界が積極採用。高まる理系人材人気
20位の伊藤忠商事、31位の三井不動産など、従来文系学生から就職希望先としての人気が高い企業も上位にランクイン。事業幅の拡大により理系人材の獲得を積極的に行っており、「理系にも活躍フィールドがある場」として浸透してきているという。
男女別ランキングを見ると、理系男子は総合と大きな差がない一方で、理系女子は、1位の資生堂、2位のコーセー、6位の味の素、7位の花王、9位の森永乳業が上位10位に入り、「薬品・化粧品・日用品」や「食品」人気が目立っているとのことだ。
大手志向が進み、インターンシップの重要性も高まる
就職希望先の企業を選んだ理由については、「やりたい仕事ができそう」が35%、「業界上位の企業だから」18%と、大手企業という枠で仕事軸を優先している傾向が見られる。
「インターンシップでの印象がよかったから」が14%と、早期からの学生への広報活動が重要であることもわかるとのことだ。
「IT・ソフトウェア」「銀行・証券」に支持が集まる
1位は「IT・ソフトウェア」。社会課題となっているDX推進や働き方改革などのイノベーションに欠かせないテクノロジーを有する業界として支持が集まっているという。コロナ禍で改めて社会インフラとしての重要性が認識された「金融」や身近な商材を扱う「食品・製菓・飲料」も人気を集めているとのことだ。
オンライン化が進む一方で、「リアルな情報」の取得や提供に課題が
コロナ禍での就職活動で苦労している点について聞くと、「社員と対面接触ができず、社風や雰囲気がつかみにくい」45%、「コミュニケーションがとりづらい」20%、「働く場所のイメージがしにくい」12%と対面であれば普通に得られていた情報を取得するのが難しくなっていることが分かる。
企業選びの決め手として「やりたい仕事ができそう」が重視されているため、学生に伝わっていない仕事の魅力、やりがいを感じ取ってもらうための広報戦略は必須と言えそうとのことだ。
■総括
業界・企業の取り組みや存在価値も企業選びの軸に
文系総合ランキングで支持を集めた「損保・銀行」は社会を支えるインフラ的存在として改めてその存在価値を示しており、「総合商社」は脱炭素時代を見据え、非資源分野の拡大という新たなチャレンジをしながら収益を伸ばしている。
理系総合ランキングでキーワードとなったDX推進なども含め、コロナ禍で各業界の先行きが不透明となるなかで、企業として「挑戦する姿」を示せていることが支持につながっているとのことだ。
重要性が高まる、理解・共感を促すための情報発信
オンラインが定着した就職活動。一方で、職場見学や工場見学ができなくなり、企業理解や先輩社員の雰囲気など、対面であれば普通に得られていた情報を取得するのが難しくなっている。
コロナの収束が見えない以上は、WEBや動画、SNSなどの広報ツールを有効活用しつつ、数少ない対面接触の機会で学生が抱いている企業に対するイメージをアップさせることができるかや、年間を通して戦略的な広報活動をプランニングして実行できるかが、学生、企業両者にとってプラスになると言えるとしている。
【調査概要】
2023年卒大学生就職希望企業人気ランキング
●調査対象
2023年3月卒業見込みの全国大学3年生、大学院1年生 ※調査開始時点
●調査期間
2021年10月1日~2022年1月31日
●調査方法
就職対策サイト「キャンパスキャリア」およびワークス・ジャパン主催の各種イベントでアンケート告知を行い、WEB上のアンケートフォームで回収。
就職を希望する企業ランキングは第1志望から第5志望までの選択方式で、第1志望には5ポイント、第2志望には4ポイント、第3志望には3ポイント、第4志望には2ポイント、第5志望には1ポイントを配分して集計。
●有効回答数
29,150票