東京ガスと三菱商事は、今回、都市ガスの脱炭素化に資するカーボンニュートラルメタンの導入を目指し、北米、豪州、中東、アジア等LNG輸出国における再生可能エネルギー由来のグリーン水素とCO2から製造するメタン(以下、合成メタン)について、そのサプライチェーン構築に関する事業可能性調査を共同で開始することに合意したと発表した。
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」実現には、熱需要の脱炭素化を進めることが重要であり、第6次エネルギー基本計画には、天然ガスの代替として合成メタンを活用することがカーボンニュートラル化を目指す手段の一つとして掲げられている。
現在、官民が連携して、既存インフラの有効活用に向けたメタネーションに係る技術開発、実証試験等を進めているが、将来的なカーボンニュートラルメタン導入の実現には、海外で安価な再生可能エネルギー由来のグリーン水素と現地で回収したCO2から合成メタンを製造し、既存インフラを利用して液化・輸送する、サプライチェーン全体の構築が必要であるとのことだ。
今後検討を進めるカーボンニュートラルメタンのサプライチェーン
同調査では、東京ガスの水素・メタネーションに関する技術、LNGバリューチェーンの構築に取り組んできた知見と、三菱商事の海外LNGプロジェクトや再生可能エネルギー等のエネルギービジネスでの知見をかけ合わせ、最適な設備構成、サプライチェーン構築を検討するという。
具体的には、北米、豪州等を中心に、再生可能エネルギーやCO2の調達、水素や合成メタンの製造、液化・輸送までのサプライチェーン全体の課題を洗い出し、適地選定及び低コスト化調査を行います。将来的には、選定した適地における実証試験、日本へのカーボンニュートラルメタンの導入を視野に取り組んでいきます。
東京ガスは、グループ経営ビジョン「Compass2030」で「CO2ネット・ゼロへの挑戦」を掲げ、カーボンニュートラルメタンのサプライチェーン構築の早期実現を図り、日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」に貢献することを目指すという。
三菱商事は、エネルギーの安定供給責任を果たしつつ、再生可能エネルギー拡大、次世代エネルギーサプライチェーン構築を通じて低・脱炭素社会の実現に貢献することを目指すとしている。
上記をビジョンとして掲げる二社は、カーボンニュートラルメタンの導入拡大によるLNGや都市ガスの脱炭素化の早期実現に向けて取り組んでいくとのことだ。
なお、同調査では、合成メタンのカーボンニュートラルに資する検討も実施予定。輸送過程等のライフサイクルCO2を含むサプライチェーン全体のカーボンニュートラル化に向けては、同調査の対象外ではあるものの引き続き注視の上、順次検討を進めるとしている。