LINEは、10月27日より、LINE内外のサービスを横断した広告配信や分析を目的として、データを広告主単位で統合して管理できるサービス「ビジネスマネージャー」の提供を開始したと発表した。
昨今のサードパーティクッキーの規制やiOS14.5における計測環境の変化などにより、企業のマーケティング手法のあり方も大きく変化することが予想され、特にマーケティングにおいてデータを活用する際は、ユーザーへの説明責任や透明性が従来よりも高いレベルで企業側に求められることが想定される。
こうした環境変化をうけてLINEは、企業とユーザーの双方にとって透明性のあるデータ活用の仕組みが必要であると考え、プラットフォームやサービスの機能改善を進めてきたとのことだ。
2019年12月より、データの相互利用による広告配信の最適化・効果最大化を追求するために、「クロスターゲティング」の提供を開始。
一方で、「クロスターゲティング」は、LINEが提供している広告サービスのターゲティング機能の一つであり、データ活用の共通基盤ではなかったため、すべてのサービスを横断した広告配信や配信後の分析が難しいという課題があったという。
■LINEのユーザーIDに紐づくデータ収集、データの統合・連携、分析・レポート、オーディエンス活用までを1つのソリューションとして体系化し、LINE内外のサービスを横断した広告配信や分析を可能に
LINEは、企業のマーケティング活動に必要なデータを1つのIDに統合することで、人、空間、瞬間を1つの線(LINE)で結び、誰もが使いやすい、フレンドリーなマーケティングプラットフォームを目指す「Any1」というコンセプトのもと、LINE内外のデータを横断的にマーケティングに活用することができるデータソリューション構想「LINE DATA SOLUTION」を2021年7月より公開。
「LINE DATA SOLUTION」では、LINEのユーザーIDに紐づくデータ収集、データの統合・連携、分析・レポート、オーディエンス活用までを1つのソリューションとして体系化し、LINE内外のサービスを横断した広告配信や分析を一気通貫で利用可能とすることで、各企業がアプローチしたいユーザーに対して、最適なコミュニケーションを実現するという。
そして今回10月27日より、「LINE DATA SOLUTION」のデータ統合基盤として「ビジネスマネージャー」の提供を開始。
■LINEのデータと広告主が持つ自社データを広告主単位で統合して管理が可能に。今後、Yahoo! JAPANのサービスへの広告配信やデータの接続も予定
「ビジネスマネージャー」は、 LINEの法人サービスを通じて同社がユーザーの許諾を得て取得したデータと、広告主が持つ自社データを統合して管理できるサービス。
複数の広告サービスのアカウントのデータを、LINE公式アカウントやLINE広告での配信に利用することができる。
将来的には、Zホールディングス傘下のグループ企業が提供している各サービスのデータについても、広告主単位での統合を検討。
まずは、Yahoo! JAPANのサービスへの広告配信や、複数の広告サービスでのリーチ計測やアトリビューション分析など、サービスを横断した広告配信の効果を可視化する分析を、ビジネスマネージャーを通じて提供できるように検討を進めているとしている。
ビジネスマネージャーでは、利用規約において異なる広告主のデータを横断して利用することを禁止するとともに、オーディエンスやLINE Tagの共有機能の利用については認証審査を必須としているという。
同リリースのタイミングでは、オーディエンスやLINE Tagで取得したデータを共有するためには、ビジネスマネージャー上で「組織」を所有する企業の認証と、各広告サービスのアカウントごとの接続認証が必要となるとのことだ。
<同リリース時点から接続可能なデータ>
・Talk Head View、LINE公式アカウント、LINE広告、LINE NEWS TOP ADのアカウントをビジネスマネージャーの「組織」に接続し、各サービスのアカウント上のオーディエンスとLINE Tagを互いに共有して利用可能。
・ビジネスマネージャー上でオーディエンスやLINE Tagを作成することが可能に。作成したオーディエンスやLINE Tagは「組織」に接続されているアカウントに共有して利用可能であるとのことだ。
<ビジネスマネージャーの活用例>
【ブランド横断施策による効率的な顧客獲得】
複数のブランドを横断したキャンペーンの動画広告を配信し、その視聴データを複数ブランドそれぞれのLINE公式アカウントでのメッセージ配信や、LINE広告の配信に活用することで、効率的な顧客獲得を狙うことができる。
【効率的な友だち獲得】
既存ブランドのLINE公式アカウントで反応の良い友だちと類似するユーザーに、別のブランドのLINE公式アカウントの友だち追加を促す広告を配信することで、見込みの高いユーザーの効率的な獲得を狙うことができる。
【Talk Head Viewの接触ユーザーへリターゲティング配信を行い、効率的なコンバージョン獲得】
Talk Head Viewで動画を視聴したユーザーに対して、LINE広告とLINE公式アカウントでリターゲティング配信を行うことで、自社キャンペーンや自社商品に興味をもっているユーザーの効率的なコンバージョン獲得が見込めるという。
<今後の展開>
今後はLINEのサービスだけではなく、Zホールディングスグループの各サービスとの連携も検討。
2022年以降には、Yahoo! JAPANのサービスとの接続やグローバルでのリリースを計画しており、また、複数のサービスのデータをかけ合わせて分析可能なソリューションや、複数のサービスのタッチポイントを横断して自動最適化配信を行うソリューションの開発を視野に入れているとのことだ。
LINEでは、今後も最適なコミュニケーションを実現する様々なメニューやプラットフォームを構築することで、企業とユーザーの双方にとって価値ある情報接点を提供し、コミュニケーションインフラとして多様な活用の可能性を広げていくとしている。