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パーソルチャレンジは、長期化する新型コロナウイルス感染拡大による障害者の就業への影響について調査を行い、結果を発表した。
コロナ禍における障害者の就業への影響に関する調査発表は、2020年7月16日付のニュースリリースに続き今回が2回目となる。
前回の調査から一年以上が経過した現在、障害者の就業や“はたらく”に対する考え方に対してどのような影響や変化が発生しているかを調べ、今後の障害者雇用施策の在り方を探ることを目的に実施したもの。
【主な調査結果】
・障害者の就業に対する不安は「体調、健康」(44.2%)が高く、実生活に直結する「生活・収入」(42.0%)、「就業継続」(32.7%)が続く。前年と比べて増加したのは「障害に対する配慮の不安」(+13.6%)。
・障害者が“はたらく”に重視することで、最も多かったのは、「収入・給与」(67.3%)で、前年より10.2%上昇。障害区分によっては「障害上必要な配慮、健康支援」も重要視。
・今後のはたらき方に望むことで、最も多かったのは、「在宅勤務とオフィスへの出社の併用」(35.0%)。前年比最も増加したのは「仕事と家庭を両立させてはたらきたい」(9.6%。前回比+3.4%)。今後もテレワークやはたらき方の選択肢・柔軟性が求められている。
■【結果要旨】
1.障害者の就業に対する不安
「体調、健康」(44.2%)が高く、実生活に直結する「生活・収入」(42.0%)、「就業継続」(32.7%)が続く。前年と比べて急増したのは「障害に対する配慮の不安」(+13.6%)。
新型コロナウイルス感染拡大が長引いている影響で、はたらくことに対して感じている不安を聞いた設問では(複数選択、当てはまるものすべて回答)、「体調、健康面への不安」(44.2%)が最も高く、次いで「生活・収入面の不安」が42.0%、「就業継続の不安」が32.7%と、実生活に直結する不安が続いているという。
「今後の社会情勢に関する不安」も32.7%と高くなっているが、前回の調査と比べると8.2%低くなっている。
反対に、前回と比べて最も上昇したのは「障害に対する配慮の不安」(+13.6%)。コロナ禍による変化を受け入れ、新たな様式が常態化する一方、これまで受けていた障害配慮が十分でなくなることに対する不安が大きくなっている可能性が考えられるという。
2.障害者が“はたらく”に重視すること
最も多かったのは「収入・給与」(67.3%)で、前年より10.2%上昇。障害区分によっては「障害上必要な配慮、健康支援」も重要視。
コロナ禍が長引いている今、はたらくことに対して特に重視していることについての設問では(複数選択、最大3つまで回答)、最も高かったのは「収入・給与」(67.3%)で、前回と比べて10.2%上昇しているという。
続いて、「継続してはたらけること」(34.8%)、「業務内容」(34.2%)と続いている。
前回と比べて最も低下したのは「はたらき方(在宅勤務、オンラインを活用した業務、コミュニケーションの取り方、一人ではたらく/チームではたらく、など)」(8.5%。前回比-11.6%)となった。
また、障害区分別でみると、精神障害者は「継続してはたらけること」の代わりに「障害上必要な配慮、健康支援」が3位となっている(40.8%)。
パーソルチャレンジが同じく今年8月に実施した「障害者のはたらく幸せに関する調査」でも、精神障害者が幸せを実感できない、不満や不安を感じるときとして「会社から必要な配慮が得られないとき」が50.0%と高くなっている。
精神障害者の今後の就業定着・活躍のためには、職場での障害特性や共にはたらくことに対する理解が必要であると言えそうとのことだ。
3.今後のはたらき方に望むこと
最も多かったのは「在宅勤務とオフィスへの出社の併用」(35.0%)。前年比最も増加したのは「仕事と家庭を両立させてはたらきたい」(9.6%。前回比+3.4%)。今後もテレワークやはたらき方の選択肢・柔軟性が求められている。
新型コロナウイルスの感染拡大やはたらき方の変化が見られる中、今後のはたらき方に望むことについての設問では(単数選択)、「在宅勤務とオフィスへの出社の両方ではたらきたい」(35%)が最多となり、次いで「在宅勤務ではたらきたい」(14.6%)、が高くなっている。
前回の調査と同様、テレワークによるはたらき方の選択肢や柔軟性が求められていると言えるとしている。
また、前回の調査より最も増加したのは「仕事と家庭を両立させてはたらきたい」(9.6%。前回比+3.4%)。テレワークの導入が進む中、今後も感染リスクやはたらきやすさの観点と、仕事の家庭の両立への意識が高まっている様子がうかがえるとしている。
さらに、障害者のはたらくについて社会全体に望むこと、変わってほしいと思うことについて任意で聞いたところ、「柔軟なはたらき方」「テレワーク」「障害への理解」「差別・偏見、不公平・格差の解消」に関する要望が多く寄せられる。
<調査概要>
■調査名:新型コロナウイルス感染拡大による障害者のはたらくへの影響
■実施期間:2021年8月10日~8月13日
■実施対象:dodaチャレンジに登録している全国の障害のある男女で、現在就業中の方
■有効回答数:471
・身体障害(身体障害者手帳を保有している):337
・精神障害(精神障害者保健福祉手帳を保有している):98
・発達障害(精神障害者保健福祉手帳を保有している):56
・知的障害(療育手帳を保持している):1
・障害者手帳を申請中、または保有していない:2
※同調査は9月8日に発表した「障害者のはたらく幸せに関する調査」と同時に調査したもの。
<参考>
パーソルチャレンジ『「新型コロナウイルス感染拡大による障害者のはたらくへの影響調査」(2021年8月実施)』