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NTTは、公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団(以下、エコモ財団)と協力して、バリアフリールート案内Webアプリ「Japan Walk Guide」を開発したと発表した。
「Japan Walk Guide」は、オリンピック・パラリンピック等経済界協議会(以下、経済界協議会)から、競技ボランティアなどスポーツ大会関係者向けのサービスとして提供し、NTTは運営面での技術サポートを行うとのことだ。
同Webアプリは、経済界協議会からスポーツ観戦をする観客および関係者向けのサービスとして、2021年7月13日から一部の会場、関係者に限定してサービス提供を開始している。
8月24日から開催されるスポーツイベントにおいては、競技ボランティアなどスポーツ大会関係者をはじめとした、車いす利用者における本格的な活用が見込まれているとのことだ。
なお、同Webアプリは9月5日まで公開するとしており、以降のアクセス・閲覧はできなくなるという。
また、同Webアプリ情報は、とうきょうユニバーサルデザインナビ(運営:(公財)東京都福祉保健財団)の特設ページ(東京都福祉保健局提供)においても掲載されている。
Webアプリ概要
「Japan Walk Guide」(画面1)は、車いす利用者等の移動制約者に対して、最寄りのバス停や駅から競技場までの網羅的なバリアフリー情報をワンストップで提供するWebアプリ。
同Webアプリでは、NTTのバリアフリー情報通信技術「MaPiece」を用いてボランティアが収集したバリアフリー地図情報を用いた駅−会場間の歩行ルート案内機能と、エコモ財団の「らくらくおでかけネット(Supported by 日本財団)」が提供する駅構内バリアフリー情報を含む乗り換え案内機能の2つの機能をシームレスに統合している。
例えば、駅・ターミナル構内のバリアフリー施設やバリアフリー経路による乗り換え案内、競技場と最寄り駅間のバリアフリー徒歩ルート情報、多機能トイレなど周辺施設情報を一元的に確認できるという。
また、感染症対策としてニーズの高まった混雑回避の参考情報として、競技場最寄り駅の混雑情報を提供するとのことだ。
同Webアプリを利用することで、通過可能なルートが分からず迷ってしまうリスクが低減。さらに、少しでも混雑の少ない時間帯の駅を利用できるなど、車いす利用者が安心して移動できるよう、情報面での支援を行うとのことだ。
(1)バリアフリー徒歩ルートを考慮した乗り換え検索
「らくらくおでかけネット」の駅構内バリアフリー情報を考慮した乗り換えルート検索について、競技場を目的地・出発地に指定して検索可能としたという。
検索結果画面(画面2)では、候補となる乗り換えルート上の徒歩距離、徒歩ルートのバリアフリー度を表示して、徒歩ルートのバリアフリーの状況を考慮したルート選定が可能となっている。
(2)徒歩ルート案内
競技場までのアクセシブルルート(バリアフリールート)情報を表示。ルートの様子は傾斜や段差の有無など文字による情報のみでなく、オリンピック・パラリンピック等経済界協議会のボランティアが収集した現地の写真を見て事前に確認することができる。(画面3)
(3)周辺施設情報
会場~最寄り駅間のルート情報だけでなく、周辺の多機能トイレや案内所、休憩所など、移動の際に役に立つ施設情報も掲載。
周辺のアクセシブルルート(バリアフリールート)情報も掲載しているため、会場~最寄り駅間のルートを外れた周辺の施設に行きたい場合に、利用ユーザの特性に応じた最適なルートを確認することが可能。情報の間違いを見つけたら、○×ボタンで報告して、ボランティアに情報修正を依頼することもできる。
利用者、ボランティアの協力により、さらに精度の高いバリアフリー地図としてレガシーにしていくとのことだ。(画面4)
(4)駅混雑情報
車いす利用者は、駅の混雑時には駅構内の移動や電車へ乗ることが難しくなる。さらに、コロナ禍によって、感染症回避のため混雑を避けたいというニーズがさらに強まっている。
Japan Walk Guideでは、鉄道会社(東京メトロ、JR東日本、東京臨海高速鉄道)の協力のもと、NTTドコモが開発した、携帯電話基地局の運用情報を用いた人口統計情報とAIによる「駅の混雑予測情報」を提供。(画面5)
駅混雑情報は、車いす利用者に限らず、一般の人にも有益な情報として使うことができる。
今後の展開
NTTは、同Webアプリの公開は期間中のアプリの利用だけでなく、それまでに醸成された市民ボランティアと車いす利用者の連携による成果の発信の場であると捉えているという。
今回のWebアプリへの技術支援を通じてインクルーシブサービスのUI/UX評価を行い、今後の研究開発へとつなげていくとのことだ。
今回のチャレンジを第一歩として、障がい者が安心して自立的に生活できるインクルーシブな社会の創造に貢献していくとしている。